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18歳以上ですか?
32にしおりをはさみました!
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副会長が出て行った後、僕はその場で動けずにいた。
藤枝先輩は副会長と付き合ってて…
弟が二人いて…
僕は、先輩にとっては弟みたいなただの後輩。
先輩と話せて…色々知れて、頭を撫でてもらって……
正直浮かれていたと思う。
だけど、結局は僕が入り込む余地なんて、最初からどこにもありはしなかったんだ。
副会長は聡明で、スポーツも出来て、容姿端麗。おまけに藤枝先輩とは家族ぐるみで仲がいいと聞く。
僕はといえば何の特技もない、平凡な人間だ。そして、今は天涯孤独の身。
比べても仕方が無いとは思うけれど、どちらが藤枝先輩にふさわしいかは、一目瞭然だ。
側にいたい、いて欲しいと思った。
だけど…諦めるしかないのかな……
僕は痛む胸をギュッと抑えた。
ブブブブブ
ポケットに入れていた携帯が鳴り、ハッとする。
取り出して画面を見ると、柚子からの着信だった。
やばい、ドッチボールの試合…
そう思いつつ、通話ボタンを押した。
「もしもし」
『静?今どこにいるの?』
「柚子、ゴメン。その…お腹が痛くなって、トイレに行ってたんだ。」
『えっ!大丈夫?』
「うん。もう大丈夫だよ。すぐに行くね。」
『うん!待ってるよ。』
プツッ
通話を切って、僕は急いで校庭に向かった。
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