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優しい君にしおりをはさみました!
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優しい君
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高橋を追ってたどり着いた場所は、中に入った事は無いが何回か横を通った事のある公園で、高橋はその公園の奥にある木の茂みの前で立ち止まった。
「ここ、この奥に犬がいるんだ」
高橋は茂みの奥を指さす、少しかがんで覗いて見ると確かに犬がいるようで、大きさは小型位で、色は真っ白だ。
よく見ると首輪とリードがつけられている。
「野良とゆうより、これは完璧に飼い犬なんじゃ…散歩中に逃げ出しちゃったのかな」
「そうだよな?この公園でうろついてるの見つけてさ。捕まえて飼い主探してやろうと思ったんだけど、近づいたらこんなとこに逃げやがって。結構ビビリっぽいから無理やり引っ張り出したら噛み付かれそうでさぁ、だからエサ使っておびき寄せようと思ってんだけど…リードついてるみてぇだからあれさえつかめればこっちのもんなんだけどな〜」
なるほど、だから人手が必要だった訳だ、エサで釣る奴と出てきた時にリード確保する奴で。
「分かりました、俺がこちでおびき寄せますね」
まぁ、これくらいの事なら手伝える。
それに、茂みの中で震えている犬が可哀想に思えてきた。飼い主も探しているだろう。見たところ毛並みも綺麗に手入れされていて、大事に育てられているだろう事がわかる。早く飼い主の所へ返してやらないと、このまま一人で怯えながら野垂れ死にしてしまいそうだ。
「おぉ、本当助かる!ありがとな!」
高橋はそう言いながら安心したようにヘラっと笑った。イケメンだ……
さすがは女との如何わしい噂をされるだけある。
背も高いし意外と爽やかな雰囲気もある、これで真面目にしてたら教師からも大人気だっただろうに。
「じぁあ、これ餌な」
「あ、はい」
なにやら美味しそうな肉の固まりを渡された。
高橋から渡された餌を犬の方へチラつかせてみると、お腹が減っているのか鼻をヒクヒクさせて首を伸ばした。
「良かった、何とかなりそうだな」
高橋が息を吐きながらつぶやいた。餌に興味をもってくれるか心配していたようだ。
一応色々と考えてはいたんだな。
犬は少しづつソロソロとこちらへ近づいてくる。が、しかし茂みから出るまであと一歩とゆうところでなかなか踏ん切りがつかないようだ。
餌をホレホレと振ってみるが鼻をヒクつかせるだけだ。
「やっぱビビってんな。拓馬何か声かけてやれよ」
「え……?」
犬の事に集中していてすっかり忘れていたが、そういえば俺はまだ拓馬のままなんだった。
てか、声かけなきゃいけないのか?今まで犬なんか飼ったことなかったし、犬に話しかけるなんてしたことがない。
ちょっと、ってゆうか結構恥ずかしい。
「ほら、飼い犬だから声かければちょっとは通じるだろ」
さぁさぁ、とゆう感じにこちらを見てくる。
犬の方へ目を向けてみるとウルウルとした目がこちらをじっと見ていて、出たいんだけどまだ怖いよぉ~;;といった感じだ。
これは……やるしかないのか…
「お…おいで」
顔が熱い、しかし出てきて欲しいのは本心なので、なるべく優しい声をだしてみた、犬は俺の声が聞こえたのか耳をピクっとさせて俺のことを見る。
もうちょっとか……やっぱり人の声ってわかるもんなんだな、何か気持ちが通じたみたいで嬉しい。
「大丈夫…怖くないよ、ほらおいで……」
何回かおいで〜、と呼んでみるもののこちらに来たそうに足を浮かせるだけでなかなか踏み出せない。
おいで、と言いながら優しく微笑んでみる。俺的に今まで生きてきた中で一番の笑顔だ…
すると、何を思ったのか、先ほど茂みで立ち止まってプルプルしてた犬がいきなりダダダダっと俺のもとへ走って、ぼふっと胸に飛び込んできた。
「うわぁあ!!」
ドスン
お尻から派手に地面に倒されてしまった。
「え!?大丈夫か!!」
高橋が駆け寄ってくる音が聞こえる、が今はそれどころではない。
「うわ!やめ!ははふぁあっ!!」
犬がベロベロと俺の顔を舐めてくる、さっきまでの怯えはどうしたのか尻尾をブンブン振りながらのしかっかてくるもんだからなかなか起き上がれない。
「やめっ!!った!たすけっあっはははっはっっくっぅ」
助けを求めるがくすぐったくて笑いが止まらない。俺がじたばたしていても高橋はなかなか助けてくれない。
「は、やく……たったす…けっ」
高橋の方をみてみると目を見開きこちらをじっと見ていて、俺が手を伸ばすと、慌ててヒョイっと犬を抱えてくれた。
助かった……
「はぁ、はぁ……ありがと…」
息を整えながらお礼を言う。思いっきり笑ったせいか体が凄く熱くなった。
「い、いや、大丈夫か?」
高橋が気にかけくれたのでそちらを見ると何故かあっちも少し顔を赤くしている。そんなに急いで来てくれたのか?
「大丈夫、びっくりしたけど…」
そう言いながら体の砂をはらう。服がこんなに砂まみれになったの何ていつぶりだろうか。いや、今までにそんな事はあっただろうか。
子供の頃に、同い年の子達が泥んこになって遊んでいるのを、羨ましがっていたことを思い出す。
「それにしても、こいついきなり心開きすぎだろ。はははっ、さっきまで怯えてたのはなんだったんだ?」
高橋は笑いながら、抱えた犬をワサワサなで、犬はへっへっと舌を出し目を細める。
俺は体を叩きながらそれを見て、さらにもう一つ目に入ったモノを見て固まった。
「なぁ、それ……そのリードと首輪……」
「え?なんだ?リード??」
ははっと笑いながら犬のリードを見た高橋も一瞬固まった。
「グッチ?」
そう、犬が付けていたリード首輪はあの有名なブランドの物だった…
「犬にグッチって!!どんな金持ちだよ!野良犬どころかセレブ犬だったのかよお前!!」
「こんなの付けてる犬、初めてみた……」
俺と高橋はお互いに顔を見合わせ…
「はっははははははは」
「……くっはははは」
二人で笑った。
「犬にグッチ付ける程だ、こりゃ飼い主泡吹いて探してんじゃねぇか?」
「本当にね」
俺たちは、飼い主が心配しているだろうと、急いで犬を交番に連れて行くことにした。
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