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第2話 一臣(幽霊)視点にしおりをはさみました!
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第2話 一臣(幽霊)視点
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オレは旭台一臣。(あさひだい かずおみ)父は旭台グループであるこの病院経営をしている一族でもある医者だ。入院中はこの小児病棟にある一番豪華な特別室に入っているんだ。子どもが嫌いだから日中はずっと特別室に籠もりっぱなし。前日に扁桃腺の切除手術を受けたばかりで喉がめちゃくちゃ痛かった。夜十時を過ぎてもう消灯時間も過ぎているから子どもはいないはずだとそう思って廊下に出た。ポケットに入れてあった銀色の鎖に取り付けられた二つのリングを握りしめながら歩く。
506号室の扉が開きっぱなしになっていた。中を覗くと一人の少年がベッドで眠っていた。けれどベッドの端っこに携帯ゲームの本体が今にも床に落ちそうなほど際どい場所にあった。
オレはそのゲーム機はもちろん、部屋の主にも注目してしまった。その日はちょうど満月でカーテンの隙間から零れる月光が少年を照らしていた。その光は少年の顔を際立たせ髪は亜麻色のように光り輝いていた。艶やかな髪に光が反射して天使みたいだと思った。あの子は女の子ではなく男なのになぜか好きになったのだ。
そうしてしばらくの間少年に釘付けになって見惚れていると突然少年が瞳を開いた。オレと目を合わせると、
「わーーーー! ゆ、幽霊だよね」
と言ったのだ。オレは唖然とした。オレが幽霊? そんな訳ないだろ。何言ってるんだ。れっきとした生きた人間だぞ。どうしてそうなる……大いに呆れそう言ってやりたかつたのだがオレは前日に扁桃腺の手術を受けたばかりで喉がとてつもなく痛く会話出来る状態ではなかった。それで首をふったりするのも無理で、少年からの問いかけには無言を貫くことにした。
そうこうしているうちに少年がオレのことをじっと見つめていることに気がついた。あれ? この子もしかしてオレに一目惚れしたんじゃないのか……そう思った瞬間にものすごく恥ずかしくなってしまい既に赤かった顔が更に赤面した。
オレはこの場にこれ以上いることが出来ずきびすを返し506号室から出てバンっ! ドアを勢いよく閉めた。
これって両思いだよな? オレはどうやら幽霊だと思われてるみたいだけど。なんとか誤解を解いてあの子と仲良くなりたいな。あの子のベッドに葉山昴と書いたネームプレートが付けられているのをさっき確認したんだ。……昴っていうのか。あの子の寝顔を思い出し少しニヤついてしまうのはしょうがない。昴にまた明日会いに行こう。
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