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=Ring1= 010.にしおりをはさみました!
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=Ring1= 010.
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「見ますか?」
ニヤニヤと人の悪い笑みを見せるオーナーに、藍は「は?」という顔をした。
僕はちらりとオーナーを振り返り、すぐに目をそらした。こいつの笑顔は何の安心感も与えない、嫌な笑みだ。
「………見る…って何を?」
「そりゃ勿論…その奴隷を、ですよ」
言いつつも既にオーナーの手はポケットに伸びていて、そこから鍵の束をじゃらりと引っ張り出していた。
困惑する藍と呆れる僕を左右に退けて、束の中から一本を檻の鍵穴に差し込む。
檻は音を立てて開いた。
背中を押されて中に入ると、ランプを持ったオーナーも後に続いて来る。
灯りが床に倒れた少年を照らし出した。
その少年は寝ているようで、すうすうと微かな寝息を立てている。
こんな冷たい鉄の床でよく眠れるもんだと思うが、寝ないでいられるわけもないんだから仕方なく眠ったんだろう。
今週入ったばかりならまだこんな生活には慣れていない筈だ。可哀想に、興味はないけど。
藍が悲しそうな顔をしているから僕も悲しい。
そんな哀れむような目をした藍も綺麗だけれど。
藍は眉尻を下げた表情のまま、膝を折って少年にかがみ込んだ。しばらくぼんやりと細い肢体を見つめた後、ふわりと少年の茶色い髪を指で梳く。
さら、さら、と小さな音が牢屋の檻の中に消えていく。
「この子は…なんて名前ですか…」
唐突に藍がそう呟くと、一瞬の静寂が起こった。
しばしぽかんとするオーナーと、愛しい藍の姿を見つめる僕。
たっぷり数秒経ってから、オーナーは口を開いた。
「……名前?……あ〜……売られてきた子ですから、ないと思いますケド………え、なんです気になりますか?なんなら調べさせますけど」
「………別にいらないよ」
悲しそうな様子の藍を見ていて、僕もなんだか気分が落ち込んできた。
藍は憂いを含んだ瞳で優しく奴隷の髪を撫でていた。
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