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50 桜井sideにしおりをはさみました!
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50 桜井side
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桜井side
坂崎君と高橋君が安静にしてる間、俺達が時々様子を見に行っていた
「熱も出てなさそうだね。良かった」
「…はい。もう、だいぶいいです」
ベッドで本を読んでいた坂崎君と少し話そうと部屋に入れば頷いてくれた
「高橋君もやっと熱下がったよ。でもまだ体力が戻ってないから引っ越しの準備は二人がもう少し元気になってからにしようね」
「…はい」
楽しみ、と口から零れた言葉に頭に響かないようそっと撫でる
「坂崎君が楽しそうにしてると俺達も嬉しいな。でもだからって我慢だけはダメだからね」
「はい。きっと先生にも怒られそう、です」
「そうだね。俺より達也が怒ったら怖そう」
うんうん、坂崎君は順調そうだ
相馬君のことで取り乱すかと思ったけど、今の所は落ち着いてる気がする
意識が朦朧としてたから、あまり覚えてなかったのかもしれないけど
「話すのは痛い?」
「…少し、だけ」
そう言ってお腹を押さえる坂崎君に俺はその手を重ねる
「言ってくれてありがとう。無理させたくないから、高橋君の所に行って来ようかな。あ、戻ってこようか?」
「あ、いえ…大丈夫です。高橋の所、行ってあげてください」
本を取り出してページをめくる様子に俺は行ってくるねと言葉をかけて部屋を出てきた
「とりあえずは、大丈夫かな。一応気にかけておく程度で」
そう独り言を零して隣の部屋へ向かった
「…寝てるね」
高橋君の部屋に行くと、寝息が少しだけ聞こえた
「あまり追い詰めたら良くないって話はしてるんだけどな…」
坂崎君を助けてあげられなかったと言って自分を責めていたのを、俺も達也も違うと慰めていた
それでもやっぱり自分が悪いんだと思っているからなのか、治りが遅い気がする
「…ん…っ」
「大丈夫だよ。よしよし」
寝苦しそうにしてるのを頭とか肩を撫でていく。病み上がりだし、気分はまだ良くないのかもしれないな
「…ぅ、ん…あれ…? さくらい、さん…?」
「起こしちゃったか。ごめんね、気分はどう?」
「だいぶ、いいです…」
ゆっくりと起き上がるのを手伝うと眠い目を擦ってぱちぱちとさせていた
朝が弱いってこういうことかと少し笑いながら見ていたら、えっと…と困ったような顔になる
「うん。熱もなさそうだね。良かった」
「…はい」
額に手を当ててもあの時みたいな熱さはなかった
「引っ越しなんだけど、もう少し二人が元気になってからにしようかと思ってるんだ。片付けも終わってないし」
「…間に合いますか?」
「大丈夫だと思う。寮の手続きもあるだろうし、長めに期間は取ってるはず」
学校と寮の手続きは多分最短でも二ヶ月ぐらいだったかな…達也が話してくれたのを思い出す
「…少しなら動けるので片付けしておきます」
もぞもぞとベッドのそばにある物を取り出そうとするのを慌てて止めた
「こらこら。まだ本調子じゃないんだから休んで。元気になったらいっぱい動いてもらうことになるんだから」
「…でも」
「高橋君だけじゃなくて、坂崎君もまだ休んでもらってるから一人だけ何も出来てないとかじゃないよ。大丈夫」
そう言うと目を見開いていた。やっぱりそう考えてたんだと俺は高橋君の頭を撫でる
「今して欲しいことは、、俺の話し相手になることです」
「…話し相手で、いいんですか?」
こうして寝込んでいるのに何か役に立てないかと不安そうに聞くのも、何とかしてあげないとな
「話し相手になるの、実はとっても疲れるんだよ?」
「え…桜井さんと話してて俺疲れないですよ」
「そう思ってくれるのは嬉しいけど、誰にでも起こることなんだよね。そして疲れた高橋君を寝かせるのが俺の役目です」
なんですか、それと少し笑う高橋君につられて俺も笑う
「ではでは早速。テストはどうだったの?」
「あれ…怒られるのかな、俺」
「そんなことないよ。あの時はそれどころじゃなかったしね。二人とも勉強ちゃんとしてたからどれくらい取れてるのかなーって」
そう言うと高橋君は鞄の中にテストの結果が入ってると教えてくれた
点数を見ると五日ぐらいの勉強時間だったのにも関わらず取れてる
坂崎君のも後で教えてもらおう、二人とも賢いのかもしれない
「すごいね、五日で四百取れてるなんて」
「…えっと、勉強会行ってたし…桜井さんにも教わってたので」
照れくさそうにしてる姿にふふと笑うと褒められると思ってなかったのか布団を引き上げて隠れようとしていた
「まだ話し相手終わってないよ?」
「っ、もう…」
ベッドに近付くと隠れきってない耳が赤くなっていて可愛いなと笑う
年相応の反応がやっと見れて少しほっとした
このまま二人の具合が良くなって、引っ越しを協力していけばきっと家族みたいになれると思うんだ
これからを考えるのがこんなに楽しいのも初めて
「さて。照れて隠れちゃった高橋君を引っ張り出すのもいいけど悪化させちゃうかもしれないから別な話をしようか。出ておいで」
「…子供扱いしないでください」
こういうやりとりも多くなっていくのかな
本当に、楽しみだ
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