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18歳以上ですか?
3にしおりをはさみました!
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珍しくほろ酔いになった身体を二人で寄せ合って向かった先は、蜜柑色の頭したこいつのマンション。
道中で話した内容なんて忘れてしまうその外装に思わず眉間に皺が寄った。
___こいつ、坊ちゃんか。
明らかに金持ちが住んでいそうなオートロックに内部廊下。今まで関わってきた人たちにも勿論お金を持っている人は居たし、いい部屋に住んでいる人もいたが、それはそれなりに年齢もいっていた。
この明らかに幼い顔をした自分よりも年下であろう青年がどう此処に住めるというのか。
エレベーターから内部廊下を通って重厚な扉が開けた先は、期待を裏切らない広い玄関。気配で既に中の具合なんて把握できる。現に互いに細身とはいえ、男二人が余裕で有り余るスペースにいる。
「広い部屋だな……名前、なんて言ったっけ?」
後ろから抱え込むように抱きしめると柔らかい蜜柑色の髪が鼻を擽る。シャンプーか香水か、ふわりと柔らかい匂いがしたので、靴を適当に脱ぎ散らかしてうなじに食いついてみた。
___どうやらこの匂いは天然らしい。
何だか無性に名前が呼びたくなった。
……のに。どうしてか全く思い出せない。なんて言ってたっけか。帰り道に確実に聞いたはずのこいつの名前はかすりもせず俺の記憶には帰って来てくれない。
「っ……蜜。えっと……」
そっと俺の腕に触れたこいつの手が熱い。酔ってるのか?
案の定、酔いとは関係なく俺もこいつも互いの名前を覚えていないらしい。
それにしても、蜜(みつ)って。だから甘ったるい匂いがするのか?なんてくだらない事を思考に巡らせるには十分すぎるだろ。
玄関から早く脱却しようと、一人住まいにしては広すぎる故に有り余った廊下へ向かうべく背後から押し進む俺。
焦ってるとか急かしてるとかじゃなく、どうやら今、こいつに欲情してるらしい。
「みつぅ?……ははっ、可愛い名前……なに?蜜は俺の名前覚えてくれてないの?」
___さて、どうやって楽しもうか。
悪戯に耳へとキスを落とすのも、囁きつつふっと息を吹きかけるのも。いちいち肩を揺らす反応が楽しくて、ついやめられない。ビクビクと痙攣するってことは感じやすいのかな。
ひとり楽しんでいたことがお気に召さなかったのか、首をギリギリまで後ろの俺の方へ向けて軽く睨みつけてきた。身長的に上目遣いになってるし、酔いでほんのり染まった赤い頬を膨らます姿は煽ってるとしか思えない。
柔らかそうな頬。潤んだ瞳___
「あなただって覚えてなかった……お互い様でしょ」
その柔らかそうな唇から出る声。思い出させてやるよ、身体で、俺を覚えて、刻んで___
「……ふーん、そうやっていじけるわけ。思い出してごらん、こうして瞼にキスした時に俺は教えたよ」
自然と上がった口角はきっと意地悪な顔だったろう。此方へ向いたままの頬へ手を添えて固定して、覗き込むように被さり右瞼にキスをする。
この行為は、来る途中にした。名前を告げたときにわざとした……自然と脳裏に蘇ってくるように。同じことをしたら俺のことを考えてしまうように。
「……紺(こん)」
___ほら、思い出した。
ずるくてごめんな、でも。どうしてだろうな、俺をお前に刻みたいって思ってる自分がいるんだよ。
蜜の小さく揺れる瞳孔が、こいつのほんの少しの動揺を示す。
こいつの中で何かが揺らいでる……それだけは理解できた。そして、それが嬉しく思えて自然と笑みが零れていたことが頬の緩みでわかった。
「……よく出来ました。いい子な蜜にご褒美あげような」
唇に触れるだけのキスをして、姫抱っこで蜜を持ち上げた。
……おいおい、軽すぎるだろ。俺もそこまで筋肉質ってわけじゃないけど、こいつは軽すぎる。俺が言えた義理じゃないけど飯ちゃんと食ってんのか。
そんなことを思いつつ、周辺を見渡すが目の前に部屋がひとつ。奥にも部屋がありそうだし、リビングもきっと置くだろうな。
「寝室どこ?それともここで欲しい?」
「そ、そこ!そこの部屋!」
髪に口付けて確認すると、蜜は目を瞑りながらやっぱり目の前の部屋を指を指した。
___入口すぐに寝室とか変な配置だな。
部屋の扉の前に立った位で、腕の中で縮こまってる蜜がぽつりと呟いた。
「……ベッドがいい、から」
「素直でいい子だな」
ああ、さっきの質問の返事か……恥ずかしがって言うとか可愛いやつ。
そんな可愛いこいつの額に口付けをひとつ。
___そうだな、ベッドでたっぷり可愛がってやるよ
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