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18歳以上ですか?
11にしおりをはさみました!
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11
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(待って……今、触れられたら……)
「……っ、ん」
ぎゅっと目を瞑りながら、七生は触れられているところをひくひくと震わせている。
そんな七生の髪を、末次は優しく撫でてくれた。
「……ごめんな。もうちょい辛抱して」
部屋まで運ぶから、とそのまま小走りで七生の部屋へと向かった。
———お腹の奥が熱い。
心臓がどくどくいってるのが分かる。
早く、番いたい。
自分の一番、好きな人と———
アルファがほしい……
城島さんが良いよ……
そう願いながら、七生は意識を手放してしまった。
「七生くん!? ちょ、大丈夫なん!?」
“七生くん!!”
遠くで、自分を呼んでいる声がする———けれど、それは望んでいる声ではない。
———夢を見ていた。
幼い頃、母親に優しく頭を撫でられていた夢だった。
優しい手はとても暖かくて、七生はその手が大好きだったのだ。
夢の中の母親は、眼に涙を浮かべて七生をあやすように撫でている。
“あなたの父親は本当に酷い人だわ。あなたから本当の名前を奪ったんだから”
“あの人は、あなたがオメガと分かったときから、あなたの人生を壊すことしかしないでいるの”
“ごめんね、七生。母さんだけは、味方だから———”
……なんて、悲しい声なんだろう。
いつの間に、こんな言葉をかけられていたのか、七生は思い出せないでいる。
幼い自分に謝りながら啜り泣く母親の声だけが、頭の中で聞こえた。
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