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「なんか、先輩がこの頃ね心ここに在らずって感じなんだよねえ」
家に帰ってきた右那がため息混じりにそう言った。
小鷹先輩にセフレ取り消し宣言をしてからしばらく経った頃だった。
右那の口から先輩の名前が出るだけで俺は内心ドキリとして、右那に罪悪感が湧く。
「というか、心がないっていうか...もう私に興味ないみたいな感じ」
「そんな......」
本人は隠しているつもりのようだが、傷付いた顔でぽそりと言ったその言葉にショックを受ける。
やっぱり俺が変なことをしたせいで、右那にまで影響が出てしまった。
「でも別れたくないの。顔は勿論好みだし、何より先輩の優しく微笑んでくれる時が一番、好きなの」
真っ直ぐな目で、右那は言った。瞳が語る先輩への愛は痛いほどに純粋で真っ直ぐで、俺の胸に強く突き刺さって抜けなかった。
やはりもう一度先輩と話そう。そして右那にちゃんと向き合って欲しいと伝えなくては。
俺は拳を固く握りしめて、決意した。
そしてそのチャンスは程なくして、あちらからやってきた。
「鹿島、先輩が呼んでる」
そう呼ばれてみれば、先輩は確かに小鷹先輩その人だった。
きっと先輩も俺に言いたい事があるんだろう。怒られるのも覚悟してる。もう一度自分に気合を入れ直して、先輩の元へと向かった。
「ねぇ、何で会いにこないの?」
いつかの空き教室にきて開口一番に小鷹先輩が言う。
「俺、あの時に無かったことにしてくださいって、言いました」
「俺は嫌だって言ったけどね」
やっぱりこうなるのか。小鷹先輩と一定の距離を保つようにしながら、もう一度頭を下げた。
「本当にすみませんでした。気の迷いって奴なんです。忘れて下さい!」
必死に謝る俺を小鷹先輩は静かに見下ろしていた。
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