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すれ違い⑧にしおりをはさみました!
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すれ違い⑧
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あれから渉と会わずに、一週間が経過した。その間普通に登校して学生生活を続けていたが、彼に対しての怒りは消えていなかった。
だがあれほどしつこかったイジメがなくなったというのに、どこか胸を風が通り抜ける感覚がする。
なにか見落としていそうな気がするのに、それが分からない。何かが引っ掛かるが、その何かが分からないもやもや。
そんな思考が脳内を巡っているせいか、この一週間便所に足をつっこむわ、女子更衣室に入ろうとするわ、宿題を全て忘れるわという駄目っぷり。しかも朝は遅刻してばかりだったので、弁当も作れていないという始末……最悪だ。
もうあいつのことは忘れよう。奴と会う前の生活に戻ろうと一週間目に覚悟を決めて、早起きした。そして、久しぶりに自分で弁当を作る。
励ます意味で唐揚げをあげて、それを弁当箱にいれる。その日は今までの生活と違って、以前のように落ち着いて授業を受けることができた。そのまま四時間目の経済が終わり、昼休みになろうとしたとき。
「石本、この資料運ぶの手伝え」
経済の教師であり、大翔が憧れる立川先生が突如俺を指名した。普段は彼のはずなのにと大翔を見れば、本人は澄ました顔をして行って来いと促してくる。
そのまま昼飯を食いにいけるようリュックを背負って、首を傾げながら先生のそばに近寄る。すると、資料集やら教科書やらを山ほど渡された。
あまりの重さに不平をいったが、先生は気にせず俺の前に立つ。職員室まで来いと先に歩きだした。仕方なく、昼の弁当を希望としてついていくことにする。
教室から職員室までは、二階分下らなければならない。長い廊下を歩いた末、階段を下り始めて資料を持つ指に痺れを感じ始めたとき。先に階段を下っていた先生が「そういえば……」と俺を見上げた。
「お前、坂崎と喧嘩したのか?」
苗字を聞いただけで、心がざわついてこけそうになる。どうにか壁に寄り掛かることで体勢をたてなおしたが、精神的には震えたまま。
「な、なんでそれを……!」
「星野大翔から聞いてな」
「……あの野郎」
「まぁ、あいつなりの気遣いさ。ところで坂崎といえば、このまえ職員室の窓から面白いもんみたなぁ」
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