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克服にしおりをはさみました!
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克服
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あ、俺死ぬんだ……
そう思った時、ザバーンと水に何かが入ってくる音を水の中から感じた。
え……?
…魚??
逆光でハッキリとは見えないものの
魚の尾びれのようなものがひらひらと水の中で揺らめくのが見えた。
光が反射して
キラッ…キラッ…と控えめに光っている。
なにこれ…?
あれ…?
鳴砂……??
水嫌いのはずじゃ…?
ぼやける視界の中に鳴砂が見えた気がした。
俺の体を何かが押し上げ、プールの隅に捕まらせた。
「ゲホッ…ゲホッ……」
空気だ…
飲み込んでしまった水のせいで吐きそうになる。
「だ、大丈夫!?」
「め、鳴砂…?」
水嫌いなはずの鳴砂が何故かプールの中にいて
俺の体を支えてくれている。
「あがれる?」
「うん…。ごめん…ありがとう。でもお前……」
「い、いいの!!」
「もう大丈夫だから、早く先にあがりなよ…」
「大丈夫!早くジャージに着替えなよ!」
「ごめん。俺のせいで…ほら、つかまって。」
俺はプールから先にあがり、そう言って手を差し伸べた。
ほんと何やってんだろ…
「…って……、え!?」
プールの中を見ると、さっき幻覚だと思っていた魚の尾びれのようなものが見えた。
「あっ!!」
「お、お前…なんなの!?それなに!?」
「え、えっと…これは……」
「そもそも泳げないんじゃなかったの!?なんで俺を助けれた!?」
「お、お願い!誰にも言わないでっ!!」
プールに入ったまま、泣きながら誰にも言わないでと訴えてくる。
何度も何度も…
「わ、わかったから…プールからあがりなよ。」
鳴砂は俺の手につかまり、プールから出た。
ふと見ると、普通なら足があるところが
何故か魚…
綺麗な青みがかった緑色で鱗がある。
「な、なにこれ……」
「僕…水がかかると、普通の足を保っていられないんだ…」
「…は?」
俺の頭の中はごちゃごちゃ…
目の前ではありえない事が起こってる。
「ぼ、僕…人魚なんだ……」
「はぁぁあ!?」
「お願いっ!ほんと…誰にも言わないでっ!!」
「い、言わないけど…そんなことある…??」
こんなことありえない…
けど、実際目の前に…
この目で見てしまった鳴砂の姿。
「どうやったら元に戻るの…?」
「乾けば戻るよ。」
「そ、そっか…俺のタオル使って…ほら。」
カバンの中に入っていたタオルを鳴砂に渡す。
ありがとう。そう言って足の部分を拭き始めた。
少しするとそれは光を放ち
その光がおさまる頃には元の足に戻っていた。
「す、すげ…」
「あの……」
「な、なに?」
「ほんとに約束して…誰にも言わないって…」
「わ、わかったって…」
「ありがとう…」
プールのところで鳴砂と別れ、別々に帰った。
帰路、俺は起こったことを思い出し
再び頭の中がごちゃごちゃになっていた。
人魚って…ただでさえありえないのに…
てか人魚って女性のイメージだけど男もいるんだ…
いや……そもそもまじで本当にいるのかよ…
とりあえず、今日のことは絶対に誰にも言わないでおこう…。
そう心に決めた。
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