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現実 -5-にしおりをはさみました!
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現実 -5-
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「これは俺が監視した上で感覚的に思ったことですが、あなたはpink motor poolの2人と接する上で若干の差別がある」
「な……なにをっ……」
喘ぎながらでまともな返事は返せずとも、瞳は気丈に武上を睨みつけている。
「分かったような……」
「わずかに、前島弘介を気遣う頻度の方が高い」
「…………」
櫻井の身体は一瞬冷めた。この男が言ったことを、ついスンナリ受け止めてしまった。
それはそうだ、木田の方が脆い人間とはいえ、前島だって内外とのバランスを保つのに神経を使っている。
それに木田の同性愛について彼なりに思うところもあるはずで、そのケアは自分が……
「言いかえれば、前島に対しては若干のよそよそしさが残る」
「……バカにっ、するな……っ!」
脂汗を浮かべながら、櫻井は快感を意識の外に散らして武上に喰いかかった。
それにも武上はどこ吹く風で、こちらを振り向きもせず櫻井の目の前のダッシュボードを開いた。
「あ……」
口を開けたダッシュボードから、大量の写真がバラバラと落ちてくる。
櫻井の足元に、膝の上に広がったその写真は、どれも自分と、そして木田が2人で写っていた。
背中からサーッと身体が冷えた後で、頭が瞬時に沸騰した。
「ふざけんな……今までこんなの残して、よく証拠はなくなっただのいけしゃあしゃあと……!」
押さえられない怒りでつい手を上げようとしたが、手錠がガシャガシャと音を立てるだけに終わる。
「ただアーティストとそのマネージャーを写しただけのスナップです。あなたの想定するような価値は何もありません」
サラリと武上が言ってのけたとき、信号が変わって車が動き出した。
「木田悠といる時のあなたが一番柔らかい表情をしている。俺個人のことを言いますと、木田悠には嫉妬しています」
「木田をお前らと一緒にするなっ……!」
櫻井は怒りながらも、埋め込まれたものの存在を思い出していた。
一瞬冷えたとはいえ、先程まで絶頂の中にいた身体だ。ジワジワとまたそれに、取り込まれそうになる。
「だが木田悠も、室井健嗣という男性を愛している」
「だまれ……」
「彼らが愛しあっている以上、そこに性的欲求もあると考えるのが自然です」
「黙れっ……!」
「木田悠は男同士での愛し合い方を知っている」
「黙れっつってんだろ!!」
櫻井の絶叫が狭い車内に響いた。
「…………」
その叫びのあと、本当に武上は何も言わなくなってしまった。
他に意識を散らせなくなった櫻井は、強制的に意識させられるアナルの快感と、武上の先の言葉、そして目の前の写真の山とが共鳴して、頭をグチャグチャにさせていた。
精神の安定が崩れた分、そこでイケるようなコンディションではなくなったが、それでも強すぎる刺激が止まらないのは事実だ。
精液とは違う液体を垂らし続ける自分のペニス越しに、木田がぶっきらぼうな笑顔を浮かべている写真が目に映った。
櫻井は思わず目を逸らす。こんな気分でいるときに、あいつらの顔を、木田の顔を見たくない。
「あなたはpink motor poolの2人と常に共にある、それでいて彼らに欲情はしないのですか」
それに感づいてか、武上がまた口を開いた。
「うるせぇ!」
「木田悠に男を感じたことは」
「やめろ、黙れ!もう……やめてくれ……っ!!」
櫻井は観念したように、涙を溢れさせた。
「木田悠に抱かれたいと思ったことはありますか」
「もう……許してくれ……」
耳を塞いでしまいたいけど、それすらも叶わない。
ずっと蓋をして見ないふりをしていたのに、ゲラゲラ嘲笑いながらその蓋を打ち壊されたような気分。
櫻井は突き付けられた。木田に、前島に、自分の命の恩人である2人に、劣情を催していた事実を。
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