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第九章② ♡にしおりをはさみました!
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第九章② ♡
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「……で、なんでこうなるんだ！？」
薄明かりのベッドルームにて、風間は鶫に跨られていた。鶫はさも当然というように、居丈高に風間を見下ろした。
「なんでって、そういう流れだったろ」
「どこがだよ？ 安眠の流れだったろ！」
「俺がそういう気分なんだよ。付き合え、おっさん」
「オレは寝たいんだが……」
「つれねぇなぁ。どうせすぐその気になるくせに」
「っ……お前、ずるいぞ」
鶫は風間の胸に手をついて、くいくいと腰を動かした。間に布を何枚も挟んでいるのに、敏感なところが擦れて勝手に反応する。
「はっ、あ……感じるぜ、あんたの」
「言うなよ」
「なぁ、ン……俺を抱けよ。あんたに抱かれたいんだ。そういう夢を見たからさ」
「夢って……」
「エロい夢だよ。男なら分かるだろ？ たまんねぇんだ」
「……」
鶫は、いっそ必死なくらいに風間を誘惑する。普段の飄々とした余裕が感じられない。怖い夢を見た子供が寝ることを恐れて、駄々を捏ねているようだった。
実際、鶫が見たのは淫らな夢などではないだろう。きっと恐ろしい悪夢だ。風間には到底想像も及ばない、恐ろしい悪夢。そうでなければ、冷や汗を流すほど魘されていた理由が付けられない。
風間は、鶫のスウェットの裾に手を滑り込ませ、細く引き締まったウエストを撫でた。
「いいぜ。抱いてやる」
「めちゃくちゃにしてくれていいぜ。特別激しくされてぇ」
「エロい夢なんざ綺麗さっぱり忘れるくらい、めちゃくちゃ優しく抱いてやるよ」
「ふは、んなのいつものセックスじゃねぇか」
鶫は揶揄うように言って、しかし嬉しそうに唇を綻ばせた。
風間は、鶫に跨られたまま、肌に触れるか触れないかという繊細さで、その体を愛撫した。指先で、優しくふんわりとくすぐるように、丁寧に撫でる。鶫はもどかしそうにするが、まだ服も脱がせてやらない。
括れたウエストから、腰に手を回す。ズボンに軽く手を入れて汗ばんだ臀部を掠め、脇腹を伝ってヘソを撫でる。筋肉の付かないヘソの下をくすぐり、軽くズボンを下ろすと、桃色の亀頭がちょこんと顔を覗かせた。
鶫が触ってほしそうに腰をくねらすが、風間は決定的な箇所は避け、上へと手を這わせる。腹筋の凹凸をなぞり、胸に到達する。男の大きな手にもフィットする、肉付きのいい胸。といってももちろん乳房などではなく、筋肉の塊である。
「なんか、またデカくなったか？」
「あんたが育ててんだろ」
「いっぱい食って鍛えてるからか」
「ちっげーよ。しつこく揉むから」
鶫の胸は筋肉の塊のくせに、触ると案外柔らかい。健康的な、上質な筋肉だ。滑らかな肌に、指先が軽く沈み込む。どうしたって触りたくなる。揉むなという方が無理な話だ。
「オレは巨乳派だ」
「俺だって」
「それは揉まれる側の意見か？」
「てめっ――」
爪の先で乳首を弾くと、鶫は目を瞑って腰を震わせた。
「そこはずりぃわ」
「好きだろ」
「別に好きじゃねー。胸なんか」
「オレは好きだぜ」
風間は、鶫のスウェットをたくし上げて裾を銜えさせた。豊満な肉体が露わになる。今が盛りの若い肉体。数年一緒にいるというのに、見飽きない美しさに惚れ惚れする。むしろ、年月を経るごとにますます美しく仕上がっていくようにさえ思える。
「っ、おい」
鶫が急かすように腰を揺らした。風間は、僅かな刺激で固く尖った桜色を、指先で摘まんでくりくり捏ね回した。敏感に刺激を拾い上げて、さらに愛らしくぷっくりと膨れる。まるで、開花寸前の蕾のようだ。
「っ、ふ……」
鶫は快感に耐えるように目を瞑り、風間の指に擦り付けるように胸を反らした。自覚しているのかいないのか、物欲しそうに腰を揺らめかせ、風間のものに尻を擦り付ける。
「ふ、ン……ぅ……」
グレーのスウェットが唾液を吸って黒く滲む。鶫は夢中で腰をくねらせていた。カクン、カクン、と弧を描くように腰を揺らし、やがて、ビクンッと大きく仰け反ったかと思えば、痙攣する体をゆっくりと弛緩させて、熱っぽい吐息を漏らした。
「ぁ、は……」
唾液を含んだ服の裾が、ぼたりと捲れ落ちた。だらしなく開かれた唇から、透き通った銀の糸が伝う。
まさか、と風間は目を見張った。まさかこいつ、乳首だけでイッたのか？ まさかそこまで開発が進んでいたなんて。風間は驚きつつもほくそ笑んだ。恋人が敏感で喜ばない男はいない。
鶫は胡乱な瞳を彷徨わせ、しかしはっきりと風間の目を見て、微笑んだ。もっとしろ、というおねだりの表情だと、風間は経験上知っている。
くったりと軟らかくなった鶫の体を、風間は背後から抱き支えるようにして座った。鶫は安心しきって背中を預けてくる。
「おれ、やっぱおっさんとすんの好きだわ」
「オレが好きなんだろ」
「さぁな」
はぐらかすように笑いながら、鶫は身を捩り唇を尖らせた。生意気なくせに甘ったれた唇を、風間は要望通りに塞いでやる。キスしながら、無防備な体をそっと弄る。
「ふぁ、あ、ンぅ……」
「好きだろ、ここ」
「んン、ん……むね、なんか……」
「素直になれよ」
「ひっ、ン、んぅ……っ」
ぴちゃぴちゃとはしたない水音をわざと立てながら、互いに舌を伸ばして絡ませ合う。蕩けた唾液が真っ赤に熟れた舌を伝ってぼたぼた垂れるが、そんなことに構っている余裕もない。お互い陸上選手のように息を荒げて、その湿っぽさや温もりを肌で感じ取る。
桜色の尖りを捏ね回しながら、風間は鶫の下腹部へ手を突っ込んだ。完全に勃ち上がり、期待に涎を垂らす桃色を、掌で包むようにして扱いた。
「んぁっ……！」
鶫は喉を震わせた。一旦離れた唇を風間は追いかけて、無理やりに舌を絡め取った。鶫は切羽詰まったように胸を喘がせながらも、自ら顔を押し付けてキスを求める。
三点を同時に、なるべくリズムを合わせて責め立てた。鶫は、自らの快楽だけを追い求める動きで、風間の手に性器を擦り付ける。そんな雄めいた仕草が、なぜかひどく愛らしく、官能的に思えてしまって、風間は一際強く鶫の舌を吸った。
「んンっ――！」
濡れた睫毛が微かに震えた。抱きしめた体がビクビク撓って、びゅるっ、と勢いよく精を飛ばした。胸まで濡らした白濁を、風間は指に掬って舐め取った。濃厚な雄の味がした。
「ンぁ、はっ、はぁ……」
鶫はぐったりとして風間にもたれ掛かった。達した直後の気怠げな雰囲気は、どうしてこうも色っぽいのだろう。
「ちっ……手だけでイカせやがって……」
鶫は媚びるような上目遣いで風間を睨む。甘く掠れた声も潤んだ瞳も、全てが煽情的でくらくらした。
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