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これが王道にしおりをはさみました!
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これが王道
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蛍「着いた！」
優「何回見ても無駄が多すぎる」
蛍「すごいね！優くん、テーマパークにあるお城もこんな感じ？」
優「たった今無駄じゃなくなった、今年こそ行こうな」
榎本学園、その城壁とも言えるような規模の校門の前で、毎年自分だけ体調が整わず行けていないテーマパークへのリベンジを誓いながら、蛍と優の2人は並んで立っていた。仲直り、家族でのお祝い、両親とのそれはそれは盛大なお別れを終えてついに、今から入寮となる。榎本はエスカレーター式のため春休みを終えて戻ってきた者、人数は少ないが2人と同じ編入組もまとめて入ってくるので普段は硬く閉ざされた門も解放され代わりに、警備員がこれでもかと配置され視線を巡らせている。時刻は午前10時。今日中に入寮すれば良いのだが、見える範囲には制服こそ着ていないが既に生徒であろう人達がそれなりに彷徨いている。軽装なのですでに寮に入ったあとだろうか、キョロキョロと当たりを見渡す蛍の手を引いて優は門をくぐる。1人の警備員に声をかけられ学生証の提示を求められた。学生証は入寮の際に必要だからと編入生には郵送される仕組みだったそうで、2人には空が直接渡してきた為手元にある。先に優が取り出し警備員の手にする機械にかざす、ピッと機械的な電子音のあと通行のお許しが出た。蛍も優に倣い真新しい学生証を機械にかざす。
優、蛍『ありがとうございます(ー！)』
あ、被ったなと思うが割とよくあるので気にせず歩を進める。本格的に中まで進むと更に人が増えてきた。生徒数は多いと聞いてはいたが総会なんかでみんな揃うと圧巻だろうな、と蛍はドキドキしながら優の斜め後をついて行く。
優「あ、居た」
声に正面をみると少し先に制服をキッチリと着込んだ空の姿、軽く手をあげて合図をする優。先に2人に気づいていたのか同じく手をあげ答える空。兄たちを尻目に蛍は空へと駆け寄った。
蛍「空くーん！！」
手を広げ待ち構えていた空の懐に遠慮なく飛び込む蛍、手荷物は駆け出す直前に優に押し付け優もそれをしっかりと受け取っていた。
蛍「制服着てるの変な感じする！」
空「学生だしね、蛍も明日から着るんだよ？何なら今日着てきたら良かったのに」
蛍「でも、入学式は皺ついてない制服がいいし」
空「クリーニングしてくれるよ？」
蛍「そうなの？！｣
抱擁を交わしつつ会話を続ける。久々の再開並のテンションだが、風紀の仕事があると2人より早く家を出ただけで数時間しか離れていない。通常運転である。
優「仕事とか言ってた割に何してんの？」
2人のテンションに引くでも止めるでもなく、ゆっくりと近づいてきた優。こいつも紛れもなく血の繋がった兄弟である。優は蛍の髪乱れたを整えるように撫で、空は背に回していた腕を離すと同じく蛍の襟を正した。
空「俺のやる事は終わったし、たった今からオフかな。残念ながら2人と寮は別だけど案内するよ。荷物ももう届いてる筈だし」
空のオフ発言に蛍は「やったー！」と喜び優に預けていた荷物を持ち直す。
空「じゃ、行こっか。その後ご飯行こ、学食今日から開いてるよ」
蛍「今日から行けるの？！はやく！早く行こう！」
空「ご飯は逃げないよー、段差、、はバリアフリー化してるからあまりないけど危ないよー」
優「……で、コレはもう始まってる訳？」
空は何が？というような表情をして見せたが優の顔を見て楽しそうに笑う。
空「そうだね、流石に全校生徒は居ないけどみんなお喋り好きだし、何ならもう風紀の連絡網荒れてるかも」
空も風紀委員のはずだか他人事かのように宣う。
蛍と空の抱擁辺りから周りの視線もヒソヒソと話す声も騒がしくなっていた。肝心の蛍は学校に興奮して気にも止めていない様だったが。まぁ、牽制としては十分か、と空はいつも通り蛍を抱きとめるだけ。優もいつも通り仲良く隣を歩くだけ、何の偽りもない自然な感じが1番効果がある筈だ。「うっかり委員会用の端末置いてきちゃった」と悪びれなく笑っている空と優は蛍の後を追った。
蛍「寮ってどの建物？」
空「アレだよ」
指さす先には都内一等地に建っていても謙遜ない建造物。それが広場を中心に4棟建っている。
優「アレ、って言う規模ではないだろ」
空「慣れだよ、慣れ」
両親のおかげでわりと庶民的な感覚で生きてきたので目がチカチカする、と文句を垂れる優に空は内心「わかる」と頷いておいた。
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