アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
告げれない恋 2にしおりをはさみました!
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
- しおりがはさまれています
-
告げれない恋 2
-
「あ。結翔くーんおはよぉ!!」
「うん。おはよう池波」
教室の中に入れば、友達の池波ルイが元気な人なっこい笑顔を向けながら挨拶してくる。
それにつられて、クラスメイトとも挨拶を軽くではあるが交わす。幼い頃から人見知りが激しい結翔でも、数週間とすればクラスにも馴染めていた。小中ではいつも幼なじみと行動を共にすることが多かったために、ここまで他者と関わるのは実に初めてでもあった。
「なぁなぁ……結翔くん……」
「はぁー……またか? これで何回目だよ」
はい。
ありがとうマジで助かります!!
(これも見慣れた光景だ)
「早く買いちゃいなよ。あの先生少し面倒だし」
「わーってるって!! ちゃちゃっと終わらしたるよ」
「おー。その意気な」
そんなくだらない会話でも、結翔にとっては少し新鮮である。あのころは周りの子たちに話しかけられることが少なかった。まぁ、それも幼なじみとしか話そうとしなかったし、良い意味でも悪い意味でもあの時はあまり周りに興味がなかったものある。
だけど、今は周りにもたくさんの友達ができた。
あの時よりかは、成長できているだろうか……?
「サンキュー!! マジで助かった。今度なんか奢るな」
「うん。マジで!? なら、あそこの駅前のパンケーキ奢れよ。妹も一緒で〜♡」
「わ、わかったよ……」
お。照れとる。
そう、池波ルイは結翔の妹みらんと二年ぐらいの交際をしている。それを知ったのも、この学校に入ってからのことだが。あのころは周りの話もあまり聞けていなかったから。悪い意味で恋の盲目になっていた。
それを知らされた時は……まぁ、言葉が出なかった。それでも、誠実なのは見ていてわかるために、兄としても安心出来る存在だ。妹も心底一途に惚れ込んでいるし。それに、三人でいる方が何かと楽しいことも多い。二人の初々しさを見れるのは、眼福でもある。恋愛小説の読みすぎかもしれないが。身近な人の仲睦ましさを見ていると心がほっこりとする。
これは、二人には内緒ではあるが。
お、池波は早速みらんにメッセを打っているようだ。
結翔はその間に、一限目の授業の準備をしていく。朝から数学と言うのはめんどくさかはあるが、元から勉強などは好きなためにあまり苦ではない。むしろ「自分のためだ!」と思ってやっていれば、暗示のような状態になるために、無心でやれる。それが自分の勉強の克服? の仕方のようなものだ。まぁ、人の向き不向きがあるかは、いちがんとしていい方法であるかと言われればそうではないが。
それに、ここまで素の自分? のようなものを出せていられる。幼なじみの隣ではいつも、自分をひた隠しにしてたから、それでも幼い時からずーっといるから、ほとんどが見破られていたけど。
それでも、この学校では息がしやすい。
「結翔くん、ありがとー!!」
「うん。次からはちゃんとやってこいよ……」
「了解です! っても、また忘れそうだけど」
「はぁー……お前は」
だ、だって〜。
まぁ、池波にも事情があるし。とやかくは言わないが……自分が出来る最低限のことだけは本当にしてほしいっと、ここ最近は思っている。
それでも、今回は奢りがあるからいいか。
キンコンカンコン
「あ、HR始まる」
「はぁー、先行のながーい話が始まる」
「うん。そこまで長くはないよ? ほんの十分とかそこらだからね」
池波に結翔はツッコミながら、自分も席へとつき。その短い時間が過ぎるのをただ、ぼーっと待った。
えっと、なら。ここの問題を……安藤答えろ──。
今はちょっど四限目だ。
1-Bを受け持つ担任の後藤田先生が受け持つ古文だ。
結翔は幼い頃から、祖母の影響で古文などをよく教わっていた。自分からも辞書を開いて調べたりと幼い頃から熱心にやっていたために、得意な科目である。先生もそれを知っているために “わざと” 結翔に回答は当てないようにしている。結翔もそれをわかっているために、時たまみんなが答えられない時を密かに狙いながら、黒板に書かれている文を、ノートへと写していく。カチカチと秒針と分針が進む中で「当ててくれないかな?」という期待の視線を教壇へと向けている。
「なら、来栖《くるす》」
結翔は名前を呼ばれ、少し口元に瓜を描く。
ガタッと席から立ち上がら、出されている問題を難なく答える。先生は少し苦笑いを浮かべてから「正解だ。座れ」といい、問題の答えの説明を始める。結翔は席に座り直すとまた、ノートに視線をもどし、スラスラと教科書と黒板を交互に見ながら、書きていく。
(早く、終わらないかな)
ただ、窓際に座っている池波ルイは、授業のこととは関係の無いことを考えながらぼーっと黒板を見つめていた。
そしてお決まりのように先生から、終わりとともに、小言が投げかけられていた──。
*
「っか、あむっ……あんなこと言わなくても良くね!?」
「食べ物を口に入れたまま喋るな!」
「はーい」
お昼休み。短い時間ではあるが、生徒たちは仲のいい友達と席を囲みながら食事をする。なんとも青春の一コマ。結翔も池波と荊南雷輝〈けいなんらいき〉と岸波芽羽〈きしなみめう〉といつものメンツで席を囲みながら、過ごしている。
「それにしてもルイは本当に後藤田の授業の時ぼーっとしてるよな?」
「だって……んぐっ、聞いてても頭がちんぷんかんぷんになっちまうんだよ!! 呪文にしか聞こえねぇ……」
「まぁ、でもそれは確かにだな」
池波の言葉に荊南が笑いながら頷く。
「そうだけど、授業ぐらいはちゃんと聞けよ。だからいつも先生に怒られるんだよー」
「そうだよー」
岸波と結翔は池波に追い打ちをかけるような言葉を言う。
「なんで、結翔くんと岸ちゃんが結託してんだよ〜。けいちゃーん!!」
池波は味方がいないと思い、荊南へと助けを求める。荊南は何も言わずにただ、宥めるように頭を撫でていた。その顔は……どこか人なっこい犬を撫でているような、なんとも言い難い顔をしていた。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
2 / 3