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死ぬことができないなら、生きればいい。確かにそう考えたときもあった。何も考えず、生きるために人を殺せばいいと。でもそう思ってしまったら、自分の嫌う化け物と同じになってしまう。
「ウィルはさ、食べる物に困ったことある?お金がないとか以外で」
「いや、金がなくて食べれなかったことはあるけどそれ以外では特に。好き嫌いないし」
「俺はいつも困ってるよ。美味しいと思えるものが人間の肉で、それ以外のものは不味くて喰えない。かろうじて豚肉は食べれるけど、美味しくない。人間の肉なんて毎日食べられるものじゃない。でも勝手にお腹は空く。どんどん頭がおかしくなって、生きている人間が肉に見える。欲しくて、喰いたくて仕方がない。喰うことは誰かが死ぬこと。……厄介なんだよ。人としての理性や感情があるから、罪悪感がある。化け物になることを恐れてる。だから俺は死にたい。人間にも化け物にもなれない中途半端な自分を消し去りたい」
こんなことを話すのは初めてだ。話したって怖がられるだけだから。
反応が気になって見るとウィルは黙って話を聞いていた。目の前の沈んでいく夕日を眺めながら……
家に着いた後、ウィルと自分の拘束を解く。
「はい。これ、つけて」
「なにこれ、ブレスレット?」
「GPSが内蔵されてるの。万が一逃げたりされたら困るし。縛られるのがお好みなら、縛るけど」「遠慮しておく」
不満そうな顔をしながらも、ウィルは渡したブレスレットを素直につけた。
「無理やり壊そうとすると電流が流れるから気をつけて。お腹空いてる?俺は昨日食べたから食べないけど」
「え、昨日食べたの?人間」
「そーだけど」
ウィルの眉間にシワが寄る。
「……さっきから言ってるじゃん。俺は人間の肉を食べるって」
「いや、わかってるんだけどさ……想像すると気持ち悪いなーって」
「気持ち悪いよ。でも、人間だってそうじゃん?生きるために豚や牛、他の生命を奪って生きてるんだから」
「まぁね。にしても……」
周りをチョロチョロ動き、俺を見てくる。
「変わらないよなぁ、人間と」
「興奮してないからね」
「なぁ、ちょっと触っていい?」
「は?」
ギュッ。
いきなり抱き締められ、体が硬直する。
「抱き心地も変わらない。尻尾は?」
硬直した体はウィルを受け入れてしまい、尻を撫でられる。
「うん、人間の尻だな。てか、フェンリルのお尻柔らかいな!あんまり食べられないとか言いながら、ちゃんとお肉付いてるな!」
もみもみッと俺の尻を揉む手。あまりにも楽しそうでムカついたから手を掴み、甲の肉をつねった。
「おい、青年。あんまり調子乗るとお前の肉喰うぞ、ゴラッ」
「痛い痛いッ!ごめん、ごめんって!!」
「お前は人質だ。大人しくしてろ、バーカ」
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