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18歳以上ですか?
危ない所でした。にしおりをはさみました!
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危ない所でした。
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「ねぇねぇ、今暇でしょ」
佐藤くんを待ってると近くから声が聞こえてきた。ノリは軽く一瞬でナンパだと気づく。
いやここでナンパしてんなよ、トイレの近くなんだし。相手の子が可哀想だろセクハラで訴えられるからな。
そんなこと本人に言えるはずもなく俯いたまま会話に耳を傾ける。目が合ったら喧嘩を売られるかもしれないので目線は基本斜め下。
「聞いてる?」
無視されてやがる。可哀想に。
俺はナンパなんかした事ないので気持ちは分かってやれないが、可哀想だという哀れみの心ぐらいは持っている。
ナンパ以前に人に話しかけられないので。
「おい聞いてんのか!」
「俺?!え、え、なになになに、」
頭の中で彼に語り掛けているといきなり肩を掴まれる。俺かよ。
急な接触に固まってしまう。そこで初めて顔を見たが見れば見るほど知らない顔だ。というか知り合いいないから確認するまでも無いんだが。
「あんたがさっき一緒だったの、佐藤だろ」
「え、何ですかすいません何のことやら」
「俺の彼女、あいつに取られたんだよ。
嫌な奴だろ、お前もさ、騙されてんだよ。」
騙されている。
その言葉に酷く揺さぶられる。あんなイケメンが俺に興味がある訳ない。根底ではこの後ろ向きな思考がずっとまとわりついていたらだ。
さっきの反応を見ても尚、疑ってしまう。だから、目の前の男にそう言われても「そんな奴じゃないです!」なんて自信を持って言えやしない。
バツの悪そうにしている俺の手を引っ張り、人気の無いトイレへと連れ込まれる。
振りほどこうと試みても、普段ゲームしか触っていない俺の筋力では到底敵わない。この時の為に武道でも嗜んでおけば良かった。
今日の占いだって最下位だから。ラッキーアイテムがココナッツカレーなばっかりに用意することも食うことも出来ず。
そういえば佐藤くんって誕生日いつなんだろう。今度聞いてみよう。、、いや、今自分の命を心配しないといけないのに何で佐藤くんのことをナチュラルに考えてんだ。洗脳かな。
「あ、あの、ちなみに暴力とかは」
「けど俺だって被害者なんだよ。復讐ってわけだから、悪いな。」
え、俺って死ぬんだ。せめてベッドの下にあるエロ同人とかパソコンにある如何わしいファイルとか、後で読もうと思ってブクマしてるTwitte○の ちょっとエロい漫画とか、そういうの全部消してからじゃないと死ねない。俺の家に人なんか来ることないのになんか引き出しの奥とかベッドの下とかに隠しちゃうんだよな、あぁいうやつ。人間の心理なのかね。
と、急に地面に押し付けられる。頭部と腕に激痛が走る。
「いってぇっ!」
「殴ってやってもいいし、犯してやってもいい。佐藤、お前のことそういう目で見てそうだしな。」
まぁ、後ろからならいけるっしょ。と笑いながら準備を進める。
穴があるなら誰でも良いってこと?許容範囲が広すぎる。
「てか、ちょ、無理だからっ」
「いーじゃんいーじゃん。細いしわりといけるかも」
「やめろっ、きもいって、無理無理」
童貞非処女とか有り得ないだろ、せめて相手ぐらい選ばせろ。こんなので俺のピュアな下半身が穢されてたまるか、できる限りの力を使って抵抗する。
『カシャッ』
「え、」
トイレに鳴り響いたシャッター音に俺も男も間抜けな声を出す。
「先輩、大丈夫ですか」
冷静に写真を撮ったその姿とは裏腹に声には焦りを感じる。俺を優しく抱きしめると怪我が無いか確認している。
「居たなら早く助けてくれれば良かったのに、」
「もし何かあったら、証拠ないと警察とか行けないかなって」
なるほど賢い。そういうことを緊急時にも考えられるのか。俺は如何にしてこいつの金玉に蹴りをいれられるか考えてたのに。
顔を見ても佐藤くんの顔から笑みは消えていない。笑顔をボンドで固めたような、そんなわざとらしい貼り付けられた笑顔を保っている。
「てかあんたいつまでいるの。目障りだなぁ、俺が先輩にかっこつけてるのに。
あと彼女さん、一言喋っただけだから。それで俺に気が向くなら最初からその程度の仲だったんじゃないですかね。」
「くそっ、」
佐藤くんがしっしっ、と生き物を追い払うかのような手を振ると、ナンパ男は眉をしかめて離れていった。
「もう先輩少しは危機感持ってください、来なかったら先輩犯されてたよ、どうするの。
けど、全部俺が原因でしたよね、すいません。二度もこんなに目に合わせてしまって」
「いや俺も、ごめん。なんか詫びしねぇと」
俺がソシャゲだったら詫び石を配布する所だった。
「お詫び、、?え、このチャンスは逃したくないなぁ…」
佐藤君はブツブツ呟きながら何かを考えた後、良い結論を出したのか顔をパッと明るくし、こう言った。
「先輩、明日俺ん家来ません?」
構えていた俺は予想外の言葉に拍子抜けする。
「それで良いのか?高い物奢るとか、金なら有難いことにいっぱいあるし…」
「お金は別に大丈夫です。じゃぁもう1つ…いいですか?」
「あぁ、俺のできることなら」
「明日、俺ん家で色んなこと教えてください。
家族の事とか 休日の事とか 何でもいい、何でもいいからもっと先輩を知りたいんです」
佐藤君の真剣な顔に、顔が熱くなる。
ふざけていた俺が恥ずかしい。
佐藤くんも佐藤くんだが、俺も最近おかしいのだ。その異変は自覚出来るほどに大きくなっていた。
佐藤くんならこうする、佐藤くんにも教えてやろう、そうやって頭の中が佐藤くんに支配されていく。言い逃れできない、俺も佐藤くんを気にかけている証拠だ。
知り合いが佐藤くんしかいないからしょうがない、なんてくだらない言い訳を使って誤魔化していたが、騙し続けるのもそろそろ限界を迎えている。
話をつけるなら、そろそろなのかもと意志を強く持つ。
「よし、じゃあ明日行かせてもらうよ。」
「あ、先輩のパンツの色とかは」
「台無しだよな」
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