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処断~腐、二次創作弱虫ペダル新開目線にしおりをはさみました!
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処断~腐、二次創作弱虫ペダル新開目線
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テントでうなだれている寿一は、めちゃめちゃ痛々しかった。
何と声をかけようか迷う。
勝利は勝利だ。
勝負は時の運だ。
どんな言葉も多分、今は寿一を傷つけるだけだ。
主将が来た。
寿一が立ち上がる。
主将は寿一を見、俺も見て、ひと呼吸入れて、言った。
「何もなかった」
寿一の小さな目が、この時ばかりは、かっと見開かれた。
ロを開く。
何か言いかける。
主将はたたみかけて言う。
「福富先生の名に泥を塗る気か」
「寿一!」
俺が止めるのと、寿一が主将を殴りとばすのとは、殆ど同時だった。
地に倒れ臥した主将に福富は言った。
「これも無かったことになるんだろう!?」
かつての寿一の人生は、殆ど全て「福富先生」の支配下にあった。
近差での敗北は、皆勝利に書き換えられ、中学に入る頃には、寿一は、どれが本当の勝利かすらわからなくなっていた。
そんな自分を励まして、ヤツは言う。
俺は強い。
俺は強い。
俺はそれがつらい。
だからあいつを抱きしめる。
どこへも行くな。
ここにいろ。
おまえのことは俺が見てるから。
それでも。
いつしかおまえは本当に強くなり、誰からも、一目置かれる存在となっていった。
もう大丈夫。
そう思って、少しだけ距離をおいたあの時期に、まさかのあの事件となったのだ。
寿一は再び福富の姓に押し潰されてしまうかもしれない。
いや…
大丈夫。
寿一はもう、あの頃の寿一じゃない。
俺もいる、東堂もいる。
まだ頼りないが荒北もいる。
だから…
テントから寿ーが出て来た。
俺を見て、したたかに笑う。
「全部なかったことになるそうだ。俺の人生って、いったい何なんだろうなぁ」
笑ったままの顔が、怒濤の涙に濡れる。
寿一! 寿一! 寿一!
俺だけはおまえを裏切らねえ!
約束だ。
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