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呪われた紅~三次創作弱虫ペダル荒北目線にしおりをはさみました!
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呪われた紅~三次創作弱虫ペダル荒北目線
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「ンだこれ」
「林檎の茎だ。さっき食った」
「茎だけェ? 種とかはァ?」
「? 食った」
「ヘ…ヘェ…」
「…ってんだぜ? 福チャン怖くねェか?」
「別に大丈夫。長年見慣れてるし」
「あいつは強いのだな」
「大丈夫ですよ」
「こら真波、起きろ」
「それは委員長に聞いて下さい…」
「寝ボケてる」
「こら真波っ」
話は真波が何故こんなに寝るかと、どんな夢見てるかの方に移ってってちまったが、俺は何か心配で、今だにドキドキしてる。
俺、昔オフクロに言われた。
ブドウのタネ飲み込むと、おなかからブドウ生えてくるよ。
ならりんごは?
みかんは?
かきは?
なしは?
りんごは?
何か心配でたまらない。
そのせいか変な夢を見た。
福チャンから枝や葉が芽生いてきているのだ。
でもびっくりしているのは俺だけで、みんなはけろっとしている。
福チャン自身も平気でロードに乗っており、
「いかん。ラップが0.3落ちた」
枝とか重いせいだろうっ!
話してる間にも、枝は繁り、葉は繁り、福チャンはみるみる一本の巨木となっていった。
ジャイアントを跨いだジャイアントツリー。
白い花が咲き乱れてから朽ちて落ち、やがて見事な林檎が枝々から覗いた。
「僕これ」
「俺はこれだな」
「弟の分な」
「新開っ!」
怒鳴る俺なんか意にも介さず、みんなはりんごをもぎ、歯を立てると、噛み跡から滴る深紅の……
「福チャン!」
叫んで目覚めると、そこは俺の部屋だった。
夢っ?
夢でよかった!
部屋をとび出して福チャンの部屋へ行く。
みんなが中を覗き込んでる。
甘い香りが鼻を突く。
やだ。
嘘だそんなっ。
やだヨ!
おそるおそる中を覗くと、ベッドには美しいりんごの木と、全てを吸い上げられた福チャンの脱け殻があった。
万有引力に叩きき落とされた、一つの果実が床にあった。
福チャンの顔をしたその果実は、俺が手に取ると目を開いた。
「俺が福富寿一だ。嘘だけど」
林正之のりんごくんかヨっ!?
林檎が言う。
福チャンの顔で。
俺を寮の裏庭に埋めよ。
三百年後、俺は再びロードを走る。
そして再びロを開いて言った。
「嘘だけど」
俺は果実を壁にぶつけた。
力の限り。
大丈夫だ。福チャンはちゃんといる。
これは夢だ。
きっと夢だ。
朝になったら福チャンはいる。
いつものまんまのあの福チャンが、
「俺は強い」
って言ってくれる。
きっと言ってくれる…
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