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きになる~腐三次創作弱虫ペダル福富目線にしおりをはさみました!
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きになる~腐三次創作弱虫ペダル福富目線
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林檎は芯まで食うと言ったら、靖友は眉間にしわ寄せた。
そのうち腹から林檎生えるぞ。
ンなことあるわけないじゃないかっ。
かかかと笑って寮の部屋に戻って寝たが、朝起きると本当に木が生えていた。
肩から。
ヘソでなかっただけでも幸い~だってヘソだったら、俺は常時仰向いていなければならない。
肩なら何とかロードに乗れる。
と思ってたけれど…
ニメートルの木を生やしてすばやく走るのは困難。
肩が重くて片思い、とか、下らないギャグが頭の中をかけめぐってる間に、木はどんどん大きく育ち、重くなり、俺はついに両脚をついた。
「寿一!」
「福チャン!」
新開と荒北と他のみんなも走ってくる。
けれどその間にも、俺の脚から根が生えて、地面の奥深く根付いていく。
「俺は林檎の木になるのだな」
「福チャン! だから俺言ったじゃん!」
「俺から成った林檎…食ってみたかった…」
と言い終わらないうちに、俺の意識は消え去った。
だが消えたのは俺の肉体と、人としての精神だけ。
俺は林檎の精となったのだ。
ジャイアントと一緒に一体となった俺の木は、東堂庵の離れの前庭に移植された。
離れは東堂の私室だし、しょっちゅう誰かかれか来てくれているから淋しくはない。
俺の木はやがて花をつけた。
基本通りのりんごの白い花だ。
「このままだと、実、なるぞ」
「何がつくんでしょう」
「ふじだろう」
「サンふじ」
「スターキング」
「デリシャス」
「とかじゃなくて」
荒北がギロッとまわりをねめつける。
「なったら食うんかイ?」
「えっ」
全員が一瞬押し黙る。
だが、新開が、涎塗れで一言、
「食うとも」
「えっ」
荒北が目を剥く。
「せっかく寿一が実るんだ。捨てたらバチ当たる」
「だな」
東堂も深々頷く。
「うまかったら東堂庵のデザートに使おう」
「高級料亭のデザートになるなんて。福富さん凄いですね」
と元気よく真波。
「うまかったらだ」
「うまいよ」
荒北と新開の声がハモり、そのあと二人は赤面した。
びっくりした。
俺の木にはありとあらゆる種類の林檎がなった。
ふじの隣にサンふじが、デリシャスの横に王林が。
姫林檎までもが一緒になっている。
「さすが寿一」
「節操ねえな」
真波は既にもいで食っている。
「味はいいですよ」
「勇者だな。てめ」
自分も一個もぐ荒北だ。
ニオイを嗅いではっとなる。
「福チャンの…匂いだ」
みんなはっとして荒北の林檎に集まるけど、さすがにその匂いがわかるのは荒北だけだ。
みんなは俺の枝を高く見上げる。
「ホント節操なしだな」
「節操なしだ」
「りんごですよ?」
真波が言う。
みんながドッと笑ってから、そっと目尻を拭っている。
俺はかなりな幸せ者だ…
俺の木は今も東堂庵にある。
実りは毎年東堂庵のデザートになるが、いくつかは直売りしてもらえるらしい。
あなたも箱根にお立ち寄りの際には、ぜひぜひご賞味されたい。
その名は箱根せっそうなし。
林檎なのに「せっそうなし」だ。
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