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自由人は最強です。にしおりをはさみました!
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自由人は最強です。
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アイスコーヒーが入ったグラスを手に壱也さんが俺の顔をのぞき込んできた。
溶けた氷がグラスの中でカランと音を立てる。
ああ、どうしよう。
グラスの持ち方さえもかっこいい。
何かのCMみたいだ。
「稜太?」
「え、あ、はい?」
しまった。
思わず見惚れてしまっていた。
不思議そうに俺を見る壱也さんと目が合って一瞬で頬が熱くなった。
クスクスと壱也さんが笑うから、恥ずかしさを誤魔化すようにすっかり汗をかいている自分のグラスを手に取った。
「聞いてなかったろ?」
「す、すいません…」
「いいよ。今日バイトだったんじゃねえの?」
「あ、はい。だったんですけど、」
とりあえず、寝不足の理由は言えないのでふらついてた辺りから壱也さんに説明した。
それを聞いた壱也さんはチラッと銀司さんを見て、呆れたようにひとつ溜め息を溢した。
「悪かったな」
「えっ、壱也さんが謝ることではっ!そ、それに、ああああ会いたいなって思ったから、来た、ので、だいじょぶ、です…」
言いながらだんだんと恥ずかしくなってくる。
顔も熱いしプシューっと湯気が出て来そうだ。
壱也さんは相変わらず優しい目で俺を見ているから、さらに恥ずかしくなってしまう。
顔を俯けていると壱也さんの手が頭に乗せられて顔を少し上げるとクシャクシャと髪を乱された。
「俺も会いたかったから、稜太が来て嬉しかった」
満面の笑みの壱也さんが手の甲で優しく俺の頬を撫でてきて。
恥ずかしげもなく向けられるその言葉と不意打ちは破壊力抜群で、一気に全身が赤くなったに違いない。
もうこのまま倒れてもいいだろうかと、嬉しさと恥ずかしさとこそばゆさで俺の心臓は異常なほど脈打っていた。
俺が必死で心臓を宥めているなんて知らない壱也さんは、更に俺の心臓を煽るように両頬を手のひらで包んでくる。
あ、と思った時にはすでに壱也さんの顔が目前に迫っていて思わず目を閉じた。
コツン、とおでこがぶつかる感触にそろりと目を開けばぼやけるほどの距離で壱也さんと目が合って心臓が止まりそうになった。
「っ!?」
「少し熱いな」
おでこを合わせたまま壱也さんがぽつりと呟いた。
息が頬にかかって止まりかけてた心臓が再び激しく動き始めた。
「熱あるんじゃねえのか?」
「いいいいいえ!こっこれは、ちっ違います…」
体温が上昇しているのは間違いないんだけれども、これは壱也さんが思っているようなものではなくて。
でも、それを言ってしまえば更に自分の首を締めることになりかねない。
もう、言い訳も出来なくて黙るしかできない。
もうほんとに早く離れて欲しかった。
壱也さんは好きだけれども!
俺の心臓が持ちません・・・
「ちょっとーそこの二人イチャつかない!」
ひいひい心の中で悲鳴を上げていれば茶化すような銀司さんの声に壱也さんがやっとのことで俺から離れてくれた。
安堵の息とともに知らず知らず強張っていた身体から力が抜けていった。
今回ばかりは銀司さんに感謝だ。
しかし、壱也さんがムッとした表情になったのは見逃さない。
「別にイチャついてねえだろ」
「イチャイチャしてましたー」
「してねえ」
「してたじゃん。顔くっつけて何やってんのー。やらしー」
「熱測ってただけだろ」
「またまた~」
俺を心配しての行動だったからか壱也さんは不機嫌さを露わにしてたけど、そんな壱也さんに動じるわけがない銀司さんは相変わらずニヤニヤ顔だ。
「付き合いたてでイチャつきたいのはわかるけど俺らもいるんだからね~」
「わかってるよ」
反論することを諦めたのか、はあっと大きく壱也さんが溜め息を吐いた。
「俺腹減った。フジ何か作ってよ」
しかしさすが自由人。
からかうのにもう満足したのか銀司さんはそう言ってフジさんに昼食をせがんでる。
そんな銀司さんに壱也さんもマコトも呆れ顔だ。
何というか、銀司さん最強?
なんて思いつつグラスにまだ残っていた液体を喉に流し込んだ。
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