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初めてのお買い物。にしおりをはさみました!
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初めてのお買い物。
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今日は学校の先輩の家に泊まります…っと。
母さんにメールを送るのにこんなに緊張したのは初めてだ。
その先輩がどんな人か母さんにわかるはずもないのに。
ああどうしよう。
ずっと心臓が落ち着かない。
まさかお泊りすることになるとか全然考えてもなかった。
壱也さんに微笑まれるとどうしてか咄嗟に返事してしまう自分をどうにかしたい。
ほんと心の準備なんてあったもんじゃない。
換気扇の下でタバコを吸っている壱也さんを盗み見た。
何をしててもかっこいいなあ、なんて思うのは絶対に欲目なんかじゃない。
緊張はするけど、でもやっぱりすごく嬉しかったりして。
だって好きな人と長くいられるんだもん。
誰だって嬉しいよね。
ニヤけそうになる口元にこれはいけないと唇をどうにか引き結んでいると手の中のケータイが震えた。
母さんからさっき送ったメールの返信だった。
泊まりのお許しと迷惑をかけないようにって内容で、わかったと一応返しておく。
これで泊まることに何の問題もなくなった。
まあ基本的に反対されることはないんだけど。
あとは、この緊張をどうやって解すかだ、なんて思っていれば突然名前を呼ばれてケータイを落としそうになった。
いつの間にタバコを吸い終えたのか壱也さんがキッチンからこっちをのぞいていた。
「ちょっと出かけるぞ」
「え、どこにですか」
「買い物。一緒に行かねえか?」
「行きますっ!」
そんなの行くに決まってる。
尻尾を振る犬のごとく壱也さんに駆け寄ると壱也さんはちょっと笑って俺の頭をぽんぽんと撫でた。
出かけた先は意外にも壱也さんのマンションから歩いて5分くらいのところにあるスーパーだった。
俺の中で壱也さんがスーパーとかで買い物するなんてイメージになかったから、新しい一面を発見したみたいで少しだけにやけてしまった。
「稜太?何やってんだ」
「あ、すいません」
ぽけっと入り口で立ち止まっていたら壱也さんがカゴを持って不思議そうに俺を振り返るから慌てて壱也さんを追いかけた。
「何か食いたいもんある?」
「んー、あっさり系ですかね」
壱也さんの後ろをついて行きながら交わす会話に一人で照れてしまう。
まさかこんなふうに壱也さんと買い物に来るとか全然想像もしてなかった。
何だか距離が近くなったみたいですごく嬉しい。
食材を選ぶ壱也さんの姿にさえも胸がきゅんとなった。
カゴがちょっと埋まってきた頃、今度は生活雑貨が置いてあるコーナーに移動して、何買うのかなって見たら壱也さんが歯ブラシを手に取っていた。
「これお前のな」
「え、ありがとうございます」
「俺と色違いな」
「………」
ふふって笑った壱也さんにちょっとだけ恥ずかしくなった。
初めてのお揃いが歯ブラシとか俺にはちょっとだけレベルが高い気がします。
スーパーで買い物を済ませて、帰りにコンビニにも寄ってアイスを買ってもらった。
しかも下着まで買ってもらって恥ずかしいことこの上なかった。
泊まるんだって実感が湧いてきて更に緊張してしまったのは壱也さんには内緒。
でも帰ってきて買ってもらった歯ブラシを壱也さんの歯ブラシと洗面台に並べると自然と顔がほころんだ。
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