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ジメジメナメクジ。にしおりをはさみました!
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ジメジメナメクジ。
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いつか蓮にもわかってもらうんだ!
そう決心した登校時間。
しかし、俺の固い決意は1日目にして最早崩れ落ちそうになっていた。
「もーお前鬱陶しいわ」
打ち拉がれる昼休み。
どんよりとした空気を背負う俺にマコトが溜め息混じりに口を開いた。
今日もいつものようにマコトと機械科棟の廊下を歩いていた。
もちろんマコトの影に隠れて飛んでくる視線を躱しております。
落ち込んでいる理由は言わずとも蓮。
そして時間は登校した頃に遡ります。
俺が学校に着いた頃には蓮はすでに席に座っていた。
昨日の今日で気が重かったけど逃げないって決めたし、席隣だし、おはようって声をかけたけど蓮から返事はなかった。
聞こえなかったのかなと今度は少し大きめに声をかけたけどやっぱり蓮は見向きもしなくて、間違いなくシカトされてるって確信した。
少し予想はしてたけど、でも蓮にシカトされるとか初めてのことで落ち込み具合も半端なくて教室なのに泣きそうになってた。
でもそれは朝だけじゃなくて今も現在進行形でシカトされ続けている状態。
思い出すとまた泣きそうになって、目の前のマコトの制服の裾をキュッと掴んだ。
そんな俺にマコトが大きく溜め息を吐く。
「ジメジメジメジメ、ナメクジかよ」
「うう、でもショックなんだもん」
「・・・もんって。だからって落ち込んでんなよ。ちょっとはわかってたろ、蓮がああいう態度取るかもって」
「そうだけど…」
「自分で決めたことだろ。腹括って頑張るしかねえじゃん」
「・・・・」
はっきりと言い切ったマコトの背中をじっと見つめた。
そうだ。自分で決めたことじゃないか。
俺は壱也さんの近くにいたい。
蓮にもいつか認めてほしい。
じゃなきゃ一生蓮に壱也さんとのこと報告なんかできない。
「…ん、がんばる」
立ち止まったマコトが振り返って俺の目を見つめてくる。
「じゃあもうウジウジすんな。お前があんま落ち込んでると間に入りたくなるから」
「マコト…」
心配そうに微笑むマコトに不覚にもときめいてしまった。
意外に面倒見の良いマコトのことだから、今の俺と蓮の状態はすごく気になってるんだと思う。
けど、俺と蓮の問題だからって口を挟もうとしないところがちょっとだけ大人だなって思った。
やっぱりマコトは頼もしい。
いつだって俺はマコトに助けてもらってる。
「ありがと」
「ん。とりあえずその顔どうにかしろよ。本山さんに心配されるぞ」
「う、うん」
見上げるといつの間にか屋上に続く階段の前まで来ていた。
壱也さんに心配かけちゃいけない。
マコトのおかげでちょっとだけ元気が出た俺は、決意新たに気を引き締めた。
屋上に続く扉を開けるといつも通り大勢の不良の方々がいると思っていたけど、何故か目に飛び込んできたのは1本の柱。
あ、でもその奥に大勢の不良の方々がいた、なんて思っていたら銀司さんの焦ったような声が飛んできた。
「二人とも避けてっ!!!」
「わ、」
「うわッ?!」
銀司さんの声に反応する間もなく、何かに躓いて倒れるマコト、に躓いて重なるように倒れる俺。
時を同じくして背後からガンっと何かが扉にぶつかったような凄まじい音が聞こえてきた。
それから、頭に何かが落ちて来た。
「いてっ」
俺の頭の上で一度バウンドしたそれは固い床に落下してコロコロと転がったかと思えばその動きを止めた。
「え?ボール?」
しかもバスケットボールだ。
何故こんなところにあるんだと首を傾げていると、下から地を這うような低い声が耳に届いた。
「稜太重い…」
「えっ、あ、ごめんっ」
さっさと退けと言わんばかりにマコトが首を捻って睨んできて、瞬時に身の危険を察知した俺は俊敏な動きで身体を起こした。
ゆっくりと起き上がるマコトを見ながらオロオロとしていれば先程の声の主が慌てて俺たちに駆け寄ってきた。
「二人ともごめんっ!大丈夫!?」
「あ、はい」
「大丈夫じゃねえよ。マジ何してんの銀司さん」
咄嗟に返事をしたけどマコトの不機嫌露わな声が俺の声に被せられた。
俺は何ともなかったけど、下敷きになったマコトは例の柱に額をぶつけたらしくちょっと赤くなっているデコをさすっている。
「え?バスケだよ」
見たらわかるでしょって感じに満面の笑みを向けられて、そんな銀司さんにマコトと二人、呆れたような視線を惜しみ無く送った。
頭上を見れば、確かに簡易式のバスケットゴールがあった。
柱の正体はポール部分だったみたいで。
躓いたのはなるほど、タンク部分だったらしい。
てか扉の前に置くとか迷惑極まりないんだけど。
でも、一番の疑問はなんでこんな物がこんなところにあるのか。
俺たちの無事を確認したところで、3on3のゲームを再開する銀司さんと不良の方々。
とりあえず俺とマコトはボールが飛んでこないようになるべく端っこを通って壱也さんたちがいる奥を目指した。
元気に走り回る自由人な銀司さんに、あの人が考えることは中々理解が難しいと再確認した。
隣のマコトに視線を移すと、ぶつけたデコをさすりながら深い深い溜め息を吐き出していた。
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