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羞恥のちネガティブにしおりをはさみました!
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羞恥のちネガティブ
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「…ん、ぅ…」
耳に届く雨の音に小さく身じろいだ。
ふわふわする意識の中、重い瞼を押し上げる。
俺の部屋とは違う天井に、俺のとは違う上質なベッド。
それに鼻を擽る壱也さんの匂い。
少しずつ覚醒する頭で壱也さんの家に泊まりに来てたことを思い出した。
それから、昨夜のことも。
「~~~っ!!」
一気に昨日の記憶が蘇る。
しかも、鮮明に。
壱也さんの声も、表情も。
俺に優しく触れる手も、やらしく愛撫する唇も。
全部、鮮明に覚えていた。
羞恥が激しく込み上げる。
身体がカァッと燃え上がった。
寝起きには刺激的すぎるその記憶。
どうしようもない羞恥に激しく身悶えたのは言うまでもない。
「…はあ、もうやだ俺、本気で死ねる」
情けない声を漏らしながら、ベッドの上で蹲る。
のたうち回った末、どうにか脳裏に浮かぶ映像を頭の隅っこに押しやることに成功した。
そう言えば、と隣を確認する。
「…あ、れ?いちやさん…?」
今更気付くのもどうかと思うけど、壱也さんの姿がない。
いや、いなくてめちゃくちゃ安心してたりするけども。
だってどんな顔をして会えばいいのか。
…どこに行ったんだろ。
リビングかな。
火照った顔をパタパタと仰ぎながらベッドサイドに置いてある時計を見れば11時を過ぎていた。
いつもはもう起きている時間にどれだけ寝てたんだって思って、はたと気付く。
「あれ…?俺、服…」
昨日はそのまま寝てしまっていたはず。
だけどちゃんと服を着てる。
ちょっとだけ考えて、壱也さんが着せてくれたのかな。
そう思ったらまた頬が火照った。
ほんと壱也さんって見た目に反してまめだと思う。
たぶんこの部屋を出たらご飯とかも準備してくれてる気がするし。
ほんと壱也さんって見た目も中身もイケメンだって思った。
昨日意識が途切れる前の壱也さんも優しかった。
俺ばっかり気持ち良くなって、しかも途中で寝そうになってたのに、呆れるどころか気遣ってくれて。
なんか、壱也さんにちょっと申し訳なくなった。
壱也さんにはいっぱい優しくしてもらってるのに、俺は壱也さんに何もしてあげれてないし、しかも、ああいうこともちゃんとできないし。
いくら初めてって言っても途中で寝ちゃうとか呆れられてもおかしくないと思う。
「…はぁ、…」
気付いたら小さく溜め息を零していた。
さっきまでほわほわしてたはずの気持ちは何故だか急降下してしまって。
余計なことまで考え始める脳みそは止まらなかった。
何で俺なんだろうって思ってた。
あんまり考えないようにしてたけど、ずっと頭の片隅にあったこと。
壱也さんだったら俺なんかじゃなくて、可愛い女の子とか綺麗な女の人とか選べるはずなのに。
俺別にイケメンでもないし、可愛いわけでもない。
ほんと普通だし、特別性格がいいわけでもないし。
一体俺の何がよくて俺と付き合ってるのか、ほんとに不思議だった。
「・・・・・・」
だめだ。
自分で考えといて悲しくなってきた。
これ以上考えてたら心が折れちゃいそうだ。
ネガティブになってしまった思考を正すようにぱちぱちと頬を叩く。
気持ちを入れ替えるべく、壱也さんがいるであろうリビングへと向かった。
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