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離れたくないな。にしおりをはさみました!
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離れたくないな。
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少しばかりテレビに集中していれば、電話が終わったのか壱也さんが戻ってきた。
だけども、ソファに腰を下ろした壱也さんは難しい顔をしてて思わず首を傾げる。
どうしたんだろうって思っていれば、おもむろに壱也さんが口を開いた。
「…稜太、悪りいんだけどちょっと用事が入った」
「え」
「たぶん夜までに戻れそうにないから、今日はもう送ってく」
「え、はい…」
思ってもなかったことに思わず目を見開く。
突然も突然で、だけども壱也さんの顔を見たら頷くしかないわけで。
ほんと悪いって言う壱也さんに頭を撫でられる。
ほんとに申し訳なさそうに眉を下げる壱也さんを困らせることなんかできるわけがない。
「えと、大丈夫です」
「さんきゅ」
へにゃっと眉を下げれば、壱也さんが小さく微笑んだ。
かと思えばふわりと髪にキスを落とされて、相変わらず不意打ちを仕掛けてくる壱也さんに言わずとも頬を赤く染めた。
「ちょっと待ってろ」
「あ、はい」
最後にぽんぽんと俺の頭を撫でた壱也さんは再びケータイを耳にあててソファから立ち上がる。
出掛ける準備を始めるのか、そのまま寝室へと姿を消す壱也さんの背中を見送った。
ソファに座ったまま膝を抱えるなり小さく息を溢す。
さっきは思わずいい子ちゃんで返事をしたけど、本当のところはまだ一緒にいたいと思ってる。
だってせっかくの休みで、一日中壱也さんと居られるはずだったんだもん。
でも、だからと言って我が儘は言いたくなかったんだよなぁ。
抱えた膝に顎を乗っけて、見てるはずなんだけど全然頭に入って来ないテレビの中の映像を見つめる。
…用事って何だろう。
聞きたかったけど、何となく聞けなかった。
急いでる感じだったし、それに難しい表情。
そんな突っ込んで聞けるほど自分の立場に自信を持てていなかった。
聞いてうざいとか思われたらやだし。
はあ、とどこからともなく零れる溜め息さえ俺の気持ちを虚しくさせた。
待てと言われて、膝を抱えて待つこと数分。
寝室から戻ってきた壱也さんの姿に、ああ帰らなきゃって思ったのに。
何故か今、ソファに押し倒されています。
しかも遠慮なんか微塵も感じさせない舌が口の中で暴れ回っていて軽く目眩がしてくるこの状況。
「…んんッ、…んァ、っ…」
最早息継ぎさえままならない。
呼吸ができない苦しさに生理的な涙が滲み出す。
キスで息絶えるとか笑えない。
しかもあまりにも濃厚なキスに下半身は反応を示し始めていた。
どどど、どうしようっ…!!
いよいよやばい状況に壱也さんの服を掴んでいた手にぎゅっと力を込めると同時、ようやく深い深いキスから解放された。
「…ふはッ、はぁ、」
「稜太、」
くてんと力無くソファに沈む身体をぎゅっと壱也さんに抱きしめられる。
そのまま首元に顔を埋められてくすぐったさに肩を竦めた。
おずおずとその背中に手を回せば、更に強く抱きしめられる。
隙間なくくっついてる身体が気持ちよかった。
それからしばらくの間この状態が続くのだけれども。
全然動こうとしない壱也さんにどうしたのかと、ちょっと心配になってきた。
「…あ、あの壱也さん?」
「ん?あ、わり…」
俺の声に壱也さんは顔を上げたものの、すぐにまた顔を首元に収めてしまった。
「あ、の…どうしたんですか?」
「…ん」
肌に当たる髪がくすぐったい。
「何か離れとくの勿体ねえなって、思って」
「えっ」
「あと少しこのままな」
「…はい」
壱也さんも俺と一緒にいたかったって、そう思って良いんだろうか。
俺も離れたくないなぁ。
そう思って背中に回していた手に少し力を込めると、壱也さんはさらに首元に強く顔を押し付けてくる。
まるで甘えるみたいなその仕草が可愛くて、知らずに口元が緩んでいた。
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