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兄弟の日常1にしおりをはさみました!
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兄弟の日常1
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「あ、お兄さん」
「裕人か」
「…一人?外、歩けるの?大丈夫?」
「そりゃどういう意味だ?あん?」
年の瀬の迫る街。
人々は慌しく道を行き交い、ある人は大量の買い物袋を下げ、ある人は大きな正月飾りを抱えている。
そんな街でたまたま出会った二人は少々不穏な空気を漂わせながら会話を始めた。
「いや、一人で出掛けることなんて殆ど無いって聞いていたからさ」
「殆どであって出掛けられない訳じゃねえぞ」
「そうなんだ。家に引き篭もっていますとよく言っているから…」
「あのイケメンモテ眼鏡野郎」
悪口になっていない悪口を吐いてここにいない人物を少し忌々しく思う。
こいつに俺のことを何て伝えているんだこの野郎と心の中で更に悪態をついた。
「…寒いし、時間あるならどこかでお茶でもしない?」
「女の子を口説くような文言実際に言うやついるんだな」
「じゃ、なんて言えばよかったのさ」
「そうだな………寒いからどっか入って茶でも飲もうぜ」
「一緒じゃんか!」
笑いながら突っ込みを入れるのは赤いフレームの眼鏡をかけた青年。
辺りを見回し、あの店に入ろうともう一人の青年に提案するも、戸惑った顔をされてしまった。
「あ、あんな洒落た店入ったことねえよ」
「外観がお洒落なだけで怖いお店じゃないから大丈夫だよ。言い方は悪いけど、ただのカフェだよ」
「あそこってあれだろ?コーヒーの種類とかサイズとかたくさんあって店員に色々聞かれるあれだろ?」
「そうだけど、そんなに複雑じゃないよ。僕がやってあげるから」
そう言って渋る青年の手を引き、マーメイドをモチーフにした看板が有名なカフェに入っていった。
普段なら勉強に励む学生やPCに向かい仕事をするサラリーマンが多く見られ
比較的静かでゆっくりと過ごせるのだが
今日に限っては時期が時期、年末最後の買出しに来た女性達や家族連れが多く、店内は酷く込み合っていた。
「………ちょっと、店選び。失敗したね」
「だな……すげえ人だ…」
「お兄さん何飲む?甘いのはこの辺、コーヒー系はこの辺」
列に並んでいると「よろしければご覧ください」と店員にメニューを渡される。
赤いフレームの彼は慣れた手つきでメニューを開きもう一人の彼に解説していく。
人混みに慣れていない彼はやはりカフェにも慣れていないらしく、
「甘いのでおすすめのやつ」という何とも曖昧な答えを出した。
しかし慣れている彼はやっぱりね、といった顔をして空いている席の確保を指示していた。
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