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紛失にしおりをはさみました!
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紛失
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「薫、スリッカー知らない?」
「え?そこに入ってない?」
何かがおかしいって気付いたのは、拓斗と付き合って、体を繋げたあの日辺りからだ。
この前は、片づけた時には絶対にしまった記憶があったのに、鉗子がなくなっていた。
「…ない。でもチェックはされてるんだよなー」
道具をしまう時は、チェック表にしまったことを確認するチェックと、チェックをした人の名前を書く欄があって、そこに記入しなければならない。
以前物がなくなる事件が多発したらしくて、それからこの学校ではそういう制度ができたらしい。
だから俺もちゃんと、しまった時にチェックをつけていた。
「この前も城田くん片づけの時じゃなかったっけ?道具なくなったの」
「ねぇ~、ちゃんとチェックしなかったんじゃないの?」
「は…?」
見下すような視線を向けてきたのは横井あさみ。
拓斗と組めなかった腹いせなのか、横井と佐倉はしょっちゅう俺らに絡んでは、ウザいことを言ってきた。
だけど今回のことは、正直かなり困惑している。だって俺は、ちゃんとチェックをしたんだから。
それに、確かに道具がなくなるのは横井の言う通り、拓斗ではなく俺が片づけを担当した時だけだ。
「薫、あいつらのことは気にすんなよ。ほら、先生に借りてきたから」
「あ…、ありがとう……」
拓斗は笑っているけど、本当はどう思っているのだろう。
俺の時だけこうして物がなくなる。やっぱり俺がちゃんとしてないって思われてるんだろうか…。
「ほら薫、そんな顔すんなって。たまごも不安になるぞ?」
「わっ!ちょ、わ、わかったから…っ」
ぐいっと抱き寄せられて、驚いて拓斗を見上げると、拓斗は後ろの方を、険しい顔をして向いていた。
「……?」
次の実習の時も、俺がしまったはずの道具箱の中から、爪切りとハサミが消えていた。
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