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発見にしおりをはさみました!
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発見
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足音をバタバタと立てるとたまごが怖がると思い、たまごが物音を立てるかもしれないのを聞き逃さないためにもゆっくりと歩く。
パニック状態の俺とは別に、拓斗は険しい顔はしているものの、俺より冷静そうだった。
さっきから俺の方を向いてはくれないし、やっぱり俺のことを疑っているんだろうか。
俺はパニックになりすぎていたのか、冷静に考えればわかることを、この時全く考えられていなかった。
「おい保坂!城田!たまご見つかったって!」
「っ!!たまご……っ!」
「あっ、薫…!」
三浦に呼ばれて俺は慌てて走り出す。拓斗に呼ばれた声も無視して三浦について行った。
「たまごちゃん、ほら、こっちにおいで!」
横井と佐倉が見つけたのか、棚の隙間の奥にいるたまごに向かって、横井が手を差し伸べている。
しかしたまごは怯えきっている様子で、一歩も動こうとはしなかった。
「たまご」
拓斗の呼びかけに、わずかに耳が動く。横井と佐倉は拓斗と俺にもたまごの様子が見えるように、一歩後ろへ下がった。
「たまごちゃん、おいで」
拓斗の呼びかけには反応したものの、横井が手を差し出すと、また縮こまってしまう。
すっかり怯えてしまっているその様子に、俺は胸が締め付けられるような苦しさを感じた。
「たまご……っ!」
「えっ、あれ……」
たまらずたまごの名前を呼ぶと、たまごは俺の方を見て、一歩前へ動いた。
そっと手を差し出すと、あれだけ横井の呼びかけには応えなかったのに、おそるおそるこっちへ近づき、とうとう俺の腕の中へ飛び込んだ。
たまごを抱きしめる俺を、拓斗の腕が抱いてくる。
たまごの頭を撫でながら、拓斗は他の人には見えないように、俺の腰をぎゅっと抱き寄せた。
「よかったなぁ、見つかって…」
犬舎へ向かう廊下、三浦がほっとしたようにつぶやいた。
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