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呼び出し
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「薫、ちょっと来てほしいんだけど」
真剣な表情で拓斗に呼ばれたのは、次の日の放課後だった。
やっぱり今日も俺の道具はなくなっていた。
しかも、いつもは一つだったのが、今日はいくつもなくなっていたのだ。
これはさすがにおかしいだろと、拓斗も気付いたんだろう。
「…そんな顔しないで。薫に怒ってるわけじゃないよ?」
緊張に強張った俺の頭にぽんと手を乗せて、腕を引かれる。
拓斗の向かった先は、個人面談や生徒が進路や学校生活などを相談する時に使う小部屋だった。
コンコン、と2回ノックをしたドアを開けると、中には昨日拓斗が何かを頼んでいた、トリミング演習の上村先生と、坂井教務長がいた。
そして、椅子には横井と佐倉が座っている。
「2人とも、そこに掛けて」
困惑しながらも、言われた通り椅子に座ると、上村先生が口を開いた。
「横井さん、佐倉さん、あなたたち2人が保坂くんと城田くんの使う道具の紛失および、預かっていたポメラニアンのメス、たまごを逃がしたことは、間違いありませんね?」
「っ!?」
上村先生の発言に、絶句する。横井は俯いて唇を噛みしめ、佐倉は決心したように前を向いている。
「……はい、私たちがやりました」
「…嘘だろ……」
佐倉の口から出た言葉に驚きすぎて、開いた口が塞がらない。
今まで俺のことを悪く言っていたのに、実際それをやっていたのはこの2人だっていうのか…?
「なんで…そんなこと……」
「…城田くんがちゃんとできない人だって思わせれば、あさみが保坂くんに近づくチャンスができると思ったから」
佐倉はまっすぐ前を、上村先生の方を向いて語りだした。
横井は最後まで黙ったままだったけど、佐倉の話しでは、自分もそれに乗ったけど、言い出したのは横井で、たまごを逃がしたのも横井だという。
たまごの件ではいたたまれなくなり、鍵を俺たちに差し出したそうだ。
「…城田くん、保坂くん、何か言いたいことはある?」
ずっと黙っていた坂井教務長が口を開くが、俺は何も言えず拓斗の方を向くと、拓斗は口を開いた。
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