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幸穂×智風7(完)にしおりをはさみました!
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幸穂×智風7(完)
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「…先輩………」
乱れた呼吸を戻すため肩で息をしていると、低く心地よいその声と共に、ふわりと幸穂の香りが鼻をくすぐった。
「っ、ゆき…ほ…?」
気づけば俺は、幸穂の暖かく頼もしいその両腕に抱きしめられていた。
まるで宝物を抱きしめるかのように優しく、それでいて、逃げることを許さないような強さで、ぐっと引き寄せられる。
いつものように飄々とした態度とは似つかないその姿に困惑した。
「…どうしたんだよ…幸穂、なんか今日いつもとちが」
「…好きです」
不安に思い幸穂の顔を覗き込み、表情を伺おうとしたそのとき、ある言葉が聞こえた。
「…………え……」
「好きなんです…ッ、あなたのことが、智風先輩のことが…どうしようもなく……好き、なんです…」
「っ…そ、んな…」
好き。
何度も何度も、ただその言葉だけを繰り返す。
初めて見せる幸穂の感情的な姿に心が早鐘を打った。
そんな姿を見せられてはもうどうしようもなくなってしまう。
「先輩…」
ふと、熱を孕んだ視線がからんだ。
ただ俺だけを瞳に映したまま、幸穂は言う。
「…どうしたら智風先輩は俺だけを見てくれますか…?どうしたら俺は、貴方の1番になれるんですか…っ」
今にも泣き出しそうな震えた声だった。
いつもは変態で生意気で俺より背が高くてイケメンで超モテモテで(以下省略)、可愛げなんてこれっぽっちもない後輩のくせに。
それなのに、今の幸穂を見ていると、どうしようもなく抱きしめたい衝動に駆られてしまう。
儚げで、苦しそうで、ただ、俺だけを求めてくる後輩。
「ッ……」
…もう、だめだ。
幸穂を
愛おしいと、思ってしまう。
気付いたら、止められなかった。
「…俺だって、お前のこと……す、好、んんう!?」
一世一代の告白をしたその瞬間、この時を待っていたと言わんばかりの勢いで、幸穂の唇に俺の唇は塞がれた。
突然のことに驚き開いた唇にはすぐさま舌が入り込み、口内を蹂躙される。
さっきまでの萎れた雰囲気が嘘のように、幸穂は嬉々として俺を攻めたてた。
あれだけ必死に求めていた姿が嘘のように、いつもの強引なキスを何度も落とす。
…なんかおかしい。
「んっ、!?ぁ、は、んんぅ!」
更に、俺の腰に回した手をぐっと自分の方へと引きつけ、イチモツを擦り合わせてくる。
「〜〜っ!?」
しかも、完勃ち。
今の今でこんな勃つ訳ない。
…絶っっ対おかしい。
「んんー!ぷっ、はあ…!!」
ようやく正常に酸素を取り入れることができるようになり、嫌な予感を感じながら恐る恐る見上げてみると…
「…作戦大成功です」
ニタァ…とした真っ黒い笑みを浮かべた幸穂がそこいた。
「…ひッ」
思わず声が上ずってしまうような、それはもう、ものすっごく人の悪い顔だった。
「さ、さささ作戦?」
「そうです、作戦です。智風先輩にどうしても好きって言ってもらいたかったので…押してダメなら引いてみろ、っていうアレですね」
え…と、つまり…俺は
「まんまと引っかかってくれました(*´∀`*)」
こいつにバカみたいに騙されてしまった、ということか…?!
『お前なんか、っ、変態で…アホで天然で…っぅ、…俺のこと好き勝手した、くせに…っ、今更…捨てんな…』
『…俺だって、お前のこと……す、好きだっつの…っ』
思い出される数々の、ここ数時間前の出来事。
これがまさか、幸穂の誘導によるものだったなんて信じられない。
だ、だって、ヤラシイことしてきた時だって、あんなに切な気に…
『もしかして、もう…興奮してるんですか…?俺の太ももに硬いの当たってるんですけど』
…………あれ…?
『ここ、くるくる辿ってあげますね。あくまでここだけ…ですけど』
…………………あれれ…?
『…変態ですね』
……あれれれれ!?いつもと全く変わらずサド野郎のまんまじゃねぇか!!
「ちょっと待て、つ、つまりあれか…?わざと俺を突き放して、弱みを見せて、同情を引いたところでパクッ!ってことか!?」
「はい(^^*)♪」
「はいじゃねぇよこのバカっっ!!」
全てが繋がった今、抑えきれない怒りと羞恥をぶつけても諸悪の根源は、
「わーい、これで完璧に両思いですね」
と、ヘラヘラ笑っているだけだった。
お、俺がどんな気持ちで今日を過ごしたと思ってんだよ…
くっそぉぉぉぉ!!
「ぜ、前言撤回!!ぜったいお前なんか好きにならん!!!」
桐谷智風、17歳。
彼の苦悩はまだまだ続くのであった…。
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