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白織良佐という先輩にしおりをはさみました!
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白織良佐という先輩
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「すっ、すみません!すぐにどきますっ…」
「え?あ、いいよいいよ!一緒に食べよ?」
「…へ?」
嘘でしょ。あの白織良佐先輩だよ?一緒に食べるとか…。
「君、何年生?」
「あ、に、二年です…」
良佐先輩は僕の隣の空いている椅子に座りながら話しかけてくる。こんなところ女子に見られたら、羨ましがられるだろうな。
白織良佐先輩は学校内でも有名なモテ男。
噂には聞いていたけど、確かに綺麗な顔立ちをしている。髪は茶髪の僕と違って黒髪だ。カッコイイなぁ。
クラスで女子たちが良佐先輩のことを話してキャーキャー言うのも納得する。
「あ、あの、なんでこんなところに良佐先輩が…?」
「ん?俺のこと知ってるのか?ははっ、理由はただ静かなところが好きってだけだよ。教室はちょっと賑やかすぎて」
「そうなんですか…」
そう言うと、良佐先輩はビニール袋からコンビニ弁当を取り出す。
「お?君は手作りの弁当?自分で作ったのか?」
「あ、ハイ…」
「すごいな!俺なんか全然料理できなくてさ。最近は料理ができる男がモテるらしいしね」
そう言うと良佐先輩はニコッと笑った。
なんだよ…自分はモテるくせに…。
そう思うと少しムッとしてしまった。
でも良佐先輩はイメージと全然違った。こんな優しそうな人だとは思っていなかった。
もっとチャラチャラしているのかと思った…。
「ところで君、名前はなんていうの?」
「え…、あ、」
僕がオドオドしていると
「あ、ちょっと教えたくない感じ?全然いいんだよ。知らない先輩にいきなり聞かれてもね」
そう言うと優しく微笑んだ。
それから僕たちはいろんなことを話しながら弁当を食べていった。
「あっ、もうこんな時間だ。そろそろ行かないと」
時計を見るとお昼休みが終わる10分前だ。
「今日は楽しかったよ。話し相手になってくれてありがとうな」
「あっ、僕も楽しかったです」
これはお世辞とかではなく本当に楽しかった。
帰り際、良佐先輩は僕に向かって言った。
「なあ、必ずとは言わないけど明日も来てくれよ。君と喋ると楽しいからさ!」
「あ、はい!」
良佐先輩はひらひらと僕に手を振る。
良佐先輩の笑顔は優しかった。
それから僕たちは毎日、その静かな廊下の椅子に座りながら話をした。
勉強のことだとか、テレビのことだとか、いろいろ話した。
「良佐先輩は付き合っている子とかいないんですか?」
「いないよ。…意外だった?」
「…へへ、そうですね。だって、良佐先輩モテるじゃないですか」
「……実を言うと、女子って苦手なんだよね」
そう言った良佐先輩は恥ずかしそうに笑った。
「…そうなんですか?なんで?」
「女子との付き合い方がわからないっていうか?何を話せばいいのかわからないし」
ははっ、とまた良佐先輩は笑った。良佐先輩はよく笑う。
「最近、退屈だったんだ。でも君と友達になれてよかったよ!」
「…え」
『友達』
…そっか。これはもう友達っていうのか。
先輩にはまだ僕の名前を教えていないのだけれども…。
「僕も先輩のような友達ができて嬉しいです」
そう言うと本当に良佐先輩は嬉しそうに笑った。
確かに良佐先輩といると楽しい。ずっと話していたいぐらいだ。
でもここまで仲良くなると、ある醜い感情が生まれる。
僕はこの感情が大嫌いだ。消えてしまえばいいのに。
この感情が生まれるといつも思う。
こんな僕なんか消えてしまえばいいのに。
…明日からは良佐先輩に会わないようにしよう。
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