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ピーマン兄弟(4)にしおりをはさみました!
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ピーマン兄弟(4)
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「母さんってさ、いつ帰ってくるんだっけ?」
「今回は一週間……」
「それまで二人でひたすらピーマン退治、か」
「うっ」
龍広も思わずハシが止まってしまいます。
「地獄だな」
いくら美味しいとはいえ、この量。
他の野菜も一緒にすくすく育ってくれれば口直しできたものを。
兄弟は必死にピーマン料理のアイディアを出し合いました。
天ぷら、肉詰め、きんぴら、チンジャオロース、みそ炒め、もやし炒め、カレー。……どうにか七日分にはなりそうですが、それを自分たちが食べるのだと思うと、口の中が苦くなっていきます。
何より、その間にも次なるピーマンは育っていくのです。もはや呪いでしょう。
「……なあ、龍広の友達とかうちに呼べない?」
「えっ」
「食欲旺盛な子いないか?」
お兄さんには話していませんが、龍広が家に呼べるくらい親しい人間は響しかいません。
あとは軽く挨拶を交わす程度のやつらばかり。
「無理」
即、首を振ります。
なにより、あの響を会わせるなんて気恥ずかしくていけません。
「……そっか。じゃ、しょうがないな」
お兄さんが溜息をつくと、数秒遅れてドサッという音が聞こえました。調理台に置かれたピーマン袋が倒れたのです。
台所はあっというまにピーマンの青々しいニオイがたちこめました。
「……つくだ煮にしてビンに封じ込めるとか……うーん」
背中を丸くさせてピーマンを拾い上げるお兄さんの後姿――肩甲骨と背骨のボコボコとした感じ、それをおおう鮮やかなグリーン。
骨の髄まで取り憑かれているよう。
「……ぴ、ピー、マン……」
龍広は思わず身震いしてしまったのでした。
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