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64.好きなのはお前！にしおりをはさみました!
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64.好きなのはお前！
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ーーー
「じゃ、行ってくるから」
「……。」
「なんだよ」
「先輩、何かイキイキしてますねえ。人が鎖取った途端、今すぐにでも走り出しそうな…」
「ったり前だろ後輩…！俺は久々に外に出られる！つかドアを開けられる！というなっ」
「…」
「そしてこの足に何もついていないという軽さ！気にならないこの感じ！変な音も歩いてもたたないし、ん〜急にテンション上がっちゃうの何のって」
「……」
「…おい。…や、やややややめろよ、真顔で再び鎖を持つなよやめろよこの野郎やめろ、まじやめろ」
「先輩がルンルンなの見ると、何だか不安になります。羽目を外しそうで不安になります」
「俺はガキかよ」
「そんなようなもんでしょう。ああ…何だか物凄く不安だ。何でだろう…最近ずっと繋いでたから、先輩が外に出るという行為がとてもとても不安で」
「…。」
「ああ…もし途中で誘拐されたら…ああ…もし途中で交通事故にでも遭ったら…ああ…もし途中で倒れてしまったら…」
「お前はそれマジで言ってるのかそれとも冗談なのか」
「マジです」
「まじかよ…やめろよ…」
「不安です」
「任せろ。俺がその不安をなくしてやるからなっ」
「……いや。あの。……まったく、…全っ然頼もしくないです。…何故でしょう……意気込まれると、更に不安が募っ…」
「ーま、すぐ戻るからさ。お前はここで待ってろよ、俺に全部任せろ！」
「……ひたすら不安だ…」
「じゃ、行ってくるからっ。うわー、久々の外だぜ〜っっあ！、居酒屋ってどうやって行くんだっけ？ま、分かるよな？まいっか、じゃあな〜、枷〜」
バタン
「…………。」
ーーーーー
ー
「あっ、こっちこっち、佐山」
「あっ、篠坂、」
「横座れば？」
「、お、おうよ」
「ビール飲むの？」
「いや、禁止だから…」
「それって、あの枷ってのか」
「…えっ。…いや、えと…」
「……ちっ」
……て。えっ？
な、…何か…もう早速出だしから雰囲気悪りいような……
…い、いや、弱気になるな自分…、
「お前ってさ、あいつのどこが好きなわけ」
「、ぇ？ぁ、ーえっ？」
「確かに見かけは良いかもしれねぇけどさ、あいつ思うに俺以上のワルだぞ。性格捻じ曲がってるだろ絶対」
…、…鋭い
「ま、まあ、そうだけど…、でも、優しいとこもあるし」
「ふーん」
「料理も出来るし、そ、それにすごく美味いし、頭良いし、人気あるし、女子なんかほっとかないっていうか、」
「だったら俺と同じだな」
「、え…」
「俺も同じだよ。頭良いし料理も出来るしモテるし人気もある。お前は同じクラスとかだったんだから知ってるだろ」
「…え、…いや、まあそうだろうけど」
「俺じゃ駄目なわけ」
「、いや、…つか、俺、お前のことそんなふうに見たことないし、あり得ないっつか…」
「見たことないならみろよ」
「え…？、」
「それくらいしてくれても、いんじゃねぇの？気持ちくらい、変わることだってあるだろ」
「…」
変わる…？
……変わるって、俺が枷より…他の奴でも好きになるって…ことー？
「……」
「俺、」
「…」
「お前のこと、好きなんだ」
「…ー」
…………
「……」
「……、」
…いっ、………いいい言わなきゃ、
言、言わなきゃ…、言わなきゃ…、
「ーー……ご、ごめん……っっ篠坂……それは、…あの、…おれ、ごめん、俺……言われても……困る…つか…っ…ごめん！まじごめん…！」
「……。…なんっでだよ」
「…分かんねえけど、なんか、あいつじゃないと、…駄目なんだ、俺っ、」
「…」
「男なら、誰でも可能なわけじゃないんだ。あいつだから、こうやって付き合ってる…あいつ以外、俺は考えられない。変わらない、変われない、この気持ちは……。」
「俺がすぐそんな気持ちなくさせる、俺の方に向かせる、俺、本当にお前のこと、好」
「ー俺はお前のこと好きになれない…！」
「……」
「…。…ごめんっ。…悪い。本当に…無理なんだ。お前のことは、あの頃はただのいじめっ子程度にしか思ってなかったし、同窓会で会っても、何にも思わなかったし、…だから本音言うと前迫られた時は、正直驚いたし…」
「…。…お前はひでぇよな……」
「、ーえ？」
「…俺がどれだけ、どんなに、好きで、だけど言えなくて、一年間、俺がどんな気持ちでいたか、…お前知らねんだろ…？」
「……ぇ…」
「最初はからかいやすい奴だなくらいにしか思わなかった、でもだんだん変わったんだよ、お前はなんだかんだ優しいから、何されても、した奴のこと恨んだりしないし、悪口言うけど、でもそれはやっぱり優しかった、周りと違った、お前だけ、特別だった、お前だけは、俺のこと、容姿とか、見かけで判断しなかった、嬉しかった、」
「…」
「お前のそういう…中身に惹かれたっていうか、…俺は、確かにあの時色んな奴に好かれてたけど、本当は俺はお前に好かれたかった、…お前だけに好かれればそれで良かった、そう思ってた、なのにお前は…俺がそう思ってるのに、簡単に同じクラスの女子好きになったり、無意識にそういうこと言って、俺のこと貶めてきて、」
「…、…」
「……お前は鈍いから。馬鹿だから。…俺がどんなに想っていようと、絶対気づくことはなかった。俺のこと、ただのウザい奴程度にしか思われてないんだろうなぁってことくらい、分かってたし」
「……」
「…お前に気持ち伝えたところで、意味わかんない顔されるか、確実に振られるか、はたまた俺のこと避けるんじゃないかなとか、そういう悪い方向にしか浮かばなかった。俺はどれだけ支持されても、お前は俺のこと全然興味無さげだし、お前は男だし、俺も男だし」
「…」
「男を好きになったってことを自覚して、よくよく後から考えてみると、本当にどうかしてるって思った。いくらお前が特別だったとしても、それはない、だから、何度も首を振ったさ。でも目は、追っちゃうんだよな。あり得ないあり得ないって、分かってても。馬鹿みたいに、お前の行動一々目で追っちまうの。お前、気づいてなかったろ」
「…、……全く」
「そーゆーのも分かってたしな、だから何も言わなかったよ、あの時は。傷つくのオチとか、分かってたし、それは嫌だったし」
「…」
「でも、同窓会あるって聞いて、やるって聞いて、ちょっとお前のこと思い出しちまったっていうか、…今は何処にいて、何をして、どんな姿してるのか。性格は変わっただろうか、結婚はしてるんだろうか。背は伸びたか、悪口は言わなくなったろうか。…急に止まらなくなった」
「…」
「……会いたかった、お前に。一目でも、会いたいって思った、お前に。…だけど、でも、…会ったらお前……何か、物凄く可愛くなってるし、ちょっと驚いて、…やっぱり欲しいって思った、今更ながら。昔の想いが、爆発した。…ごめん、悪かった、急に押し倒したり、ぶったりして、」
「…や、い、良いけどさ……か、可愛くって……なんか……」
「可愛くなってた」
「、…はあっ？おまっ」
「…相変わらず肌白いし、すぐムキになるし、背も変わってない、顔も全然、昔のまま。それに加えて、何かお前、色気漂ってたっていうか」
「ー。……ぃ、いいいい色気…っっ！？」
「今も漂ってるし」
「は…、ーえ！？あっ！？い、いいいい今も？！」
「たまんないな。その横から見えてるお前の首に今すぐ噛みつきたいぜ」
「ーおい…っ！？」
「悪りかったよ。色々迷惑かけて」
「、…え？」
「…悪かった。…好きだって言ったり、俺のものとか言ったり、困らせて、まじ悪かった」
「……」
「今でもそりゃ、このままお前強引に連れて、近くのホテルでも行きたいけどさ、」
「っ変態…！！」
「怖がるなよ、本当に連れ込みたくなる」
「…ど、どういう心理だよ…わかんねぇ……」
「でも、何かお前の彼氏？怖いからしない」
「は…？」
「だってあの男、前俺のことガチで殺ろうとしてた目向けてきたし。悪寒が走ったの何のって。綺麗な顔してるからか知らねえが何かもうまじ怖くって怖くって」
「…あ、あぁ……そうか、」
「お前はお前で、そのあと普通に繋がれてたし、俺がこれ以上お前に近寄っても、…何つーかただのホラーにつながるとしか思えなくてな」
「……あ、はい……。」
「お前はさ、あいつで良いの？なんつーか大丈夫なの？」
「は、？」
「お前馬鹿だから、色んなこと気づいてなさそうな気がする…。あの男は相当ねちっこいぞ。浮気とか絶対許さないタイプだぞ。刺してくるぞ、怖いぞ〜それでも大丈夫なのかお前。絞められるぞ殺されるぞ、あ〜怖いったら」
「俺を怖がらせようとすんなよッッ」
「…。まあ…、お前が今日こうやって俺と会って話してくれただけでも良かったよ」
「…、え？」
「お前絶対、俺に好きとか言われて戸惑って、どうすれば良いのかわかんなくて、そのまま逃げるか無視するか、とかすんだろうなーって思ってたし」
「俺はどれだけヘタレだよ…！」
「お前は昔からヘタレだったじゃねぇか」
「………。」
「なんでだろうな。俺も不思議だぜ、何でこんな惹かれるかな」
「お前も疑問なのかよ」
「だってサラリーマンの最早おっさんだろ」
「ーてめえな…！！」
「いや、悪い悪い。俺もそうなんだけど」
「そうだよ！お前だっておっさんだろ！！」
「何傷ついてんだよ、大丈夫だ。まだ全然はげてないし、イケるさ」
「ーはげてねえよ！知ってるよ！」
「あいつ何歳？」
「は…？！」
「枷」
「え？確か、26？」
「うわっっ、若っっ」
「…」
「……7歳差かよ。年の差カップルね。リョーカイ」
「ー悪かったな…ッッ！」
「いや、悪くはねえけどさ、あいつあんな容姿してるからもてんじゃないの？」
「、…それは、まあ」
「大変だなぁお前も。あんな歩いてるだけで人目奪う奴なんかといて、やっぱお前可哀想だぜ…」
「ーお前な…ッ！！つーかお前もその奪う側の一人のくせに！」
「まあな」
「ムカつくなあお前らまじで…！」
「良いじゃないか、そんなイケメンに好かれて。モテモテだな佐山。嬉しいか？」
「ー嬉しかねえわ！」
「まあ、だろうな。お前別に完全にこっちってわけじゃないっぽいし、男に言い寄られてさらに女扱いされて、何かやっぱ可哀想としか言いようがないぜ」
「可哀想可哀想言うなよもう…！！」
「悪りい悪りい」
「お前反省してねえだろ！？呑気にビールを飲むな！！」
「お前はまたメロンソーダかよ。まあ似合ってて良いと思うぞ」
「舐めんなてめえ！」
「俺にまた襲われるとか思わなかったわけ。断られても、力づくで押し返されるとか思わなかったわけ」
「…、それは…だってここ居酒屋だし、」
「ー甘いな」
「……は？」
「疎いお前になら、今すぐにでも軽くキスの一つや二つ、簡単に奪えてるぜ」
「……ーなっ、」
「試してみる？」
「…いや、い、いい、」
「ばーか。冗談だよ、んな構えんなよ」
「……な、何なんだよお前」
「だってむかつくんだもん、お前ら」
「ーな、…はあっ？急になに…っ」
「…お前も。あの枷ってのも」
「…、」
「全部ムカつく。振られるの分かってたけどさ、でもお前は俺が見つけてたのにさ。まさか男と付き合ってるなんて…昔の自分が憎いよ」
「…」
「力づくで手に入れたいよ、今でも。他の奴に取られただなんて、許せねぇよ。お前を俺のところに、引きずり落としたいよ」
「……、篠坂、」
「…納得なんてできない。俺だってそう簡単に、気持ちは変わらない」
「……」
「一応、身は引くけど、でも俺は、」
「…」
「ーーお前のこと、諦めないから」
「ー……。…ぇ？……ぁ、は？」
「急に襲ったりはもうしねえよ、多分。でも、まだ気持ちは変われない。振られたところで、まだ俺はお前のこと好きだから」
「……な………で、でもお前…昔のその…想いが、…急によみがえって、ただそれだけとかなんじゃ……」
「そう思ってたけど、やっぱ好きだ。今とかかなり自信あるぜ。速攻今からシたいと思える」
………はああああああッッ！！！？
「ーだ、駄目なんだよそれは…！諦めてくれねぇと、振ったんだからさ、俺…！」
「だからって、気持ち変わるかよ」
「いや、でもなっ？、でもだな、そこはそう思っても抑えてだな、」
「大丈夫。きっといつか諦める」
「いつだよ…！」
「はあ？そんなの知らねぇ」
「諦めろよ…！俺が頑張ってこうして言ってんのにさ！！」
「大丈夫だよ、そんな心配すんなよ。奪おうとかしたりしねぇから」
「〜本当かよ…！？」
「でも、お前がもしあいつに冷めてきたりとか傷つけられてたりとかしたら遠慮なく奪いにいく」
「姑息だな…ッッ！」
「良いじゃないか、あっちに行ってもこっちに行ってもイケメンが待っているぞ、喜べ」
「何だよそれええええ！！怖すぎる……！怖すぎるッッ！！結局どこに行っても掘られるんじゃねえか！ざけんなカス…ッッ！」
「だからあんまり、そういう行動しない方が俺は良いと思うけど」
「、はあっ！？」
「1人で会いに来るなんてさ、…良いと思うけど、でも、リスクは大きいんだぞ」
「……な、」
「お前は自分のこともっとわかった方が良いよ。枷の拘束したくなる気持ちも、わからんでもない」
「…、俺はお前に、正直に、こうやって気持ち伝える為に、…だから、」
「ーーでもそれがきっと正しいかどうかなんて分からない」
「え……」
ーグイッ
ーーーーえ…………っ、
……顔が近………
え、……あ、………え！？
…き、…き……っ…！？ー
「ーーーッ、や、…やめろよこの野郎ーーーーーーーーー！！！」
ベシン…ッッ！
ー
「つ、…いってっっ！」
「〜〜やめろ変態この馬鹿っ！！きゅ、急になんだてめえ！事が終わったと思ったら、解決したと思ったらてめえ！！お前不意をつきやがったなこの野郎……！！」
「何だよ、キスくらいで大袈裟だな。一つくらいさせろ。身引くんだから」
「はあああ！？ざっっけんなよお前……！断る為に、身引くからって、キスくらいって、…それおかしいだろ！？」
「何だよ、」
「俺は、絶対そんなことしない…！俺は確かにすぐ流されるけど、でも、そこの間違いくらい気づける！裏切りたくない…！俺はあいつのこと、安心させたい！！」
「…何だそれ」
「お前がどれだけ俺のこと好こうと、俺は受け入れないからな…！！俺はあいつのこと好きなんだから…！お前なんかに、俺とあいつの仲、壊させてたまるかよ…！あいつのこと不安にさせるようなこと言わないでくれ…！あいつは本当に…っ、…俺の大事な奴なんだよ！！」
「…」
「俺は…っ、あいつじゃなきゃ、駄目なんだ……っ…あいつ以外、誰も考えられない、…ちょっと怖かったり、たまにおかしなことし出すけどっ！でもあいつじゃないと俺…っ、…あいつには、俺がいないと、駄目なんだよ！」
「……」
「あいつは、ただでさえ、色んなもの背負ってんだ…、いっつもニコニコ余裕そうに笑ってるけど、でも本当は疲れてることだって俺知ってる…！毎日毎日仕事も家事も全部完璧にこなして、なのに弱音一つ吐かないんだ！俺のことだって気にかけて、心配させて…、俺はあいつの為に、色々したいのに、結局迷惑しかかけてないっ、」
「…」
「…あいつは本当は弱いんだ。…見えないだけなんだ。見えないように、させてんだ……あいつは、人に頼れない。全部自分でするのは、頼るってことを知らないからなんだ、…あいつは、あいつは…俺に好き好きばっかり言って、なのに俺の…たった一言の、たまにしか言わない好きって言葉だけで、あいつは満足そうにするんだよ……あいつは欲張りそうに見えて、本当はそうじゃない。ただ傲慢なだけで、人に、…俺にさえ、気ばっかり遣ってる……っ！……俺……全部知ってる……最近も、…よく辛い顔するし、…それが俺のせいなんなら、やっぱり俺はサイテーって思うし、俺は本当はもっと、本当はあいつに…甘えさせてやりたいんだよ…」
「……」
「…あいつは絶対、自分が完璧だとか、勝手にそう思い込んでるから、俺がそういうことに気づいてるなんてことも、知らないと思う…。でも、俺には分かる……いつも一緒に居たら、それくらい分かる……好きだから、…だから分かる……でもあいつは、何も言おうとしないから……。…俺に言えばいいのに、あいつは絶対縋ったりなんてことはしないから……だから、だから、……本当は俺のこと、もっと頼ってほしい……何でも言ってほしい……俺……あいつのこと、全部理解してやりたい…」
「……」
「…ーぁ、あいつは、だから、見えないだけで、本当は、すげえ大変っつうか、俺もそれ知ってるっつうか、でもっ、もっと色々、言って欲しいっつうかっ、…な、何かあいつは、…俺のこと好きって言いながら、全然自分のことは、本当のことはっ、め、滅多に、さらけ出したりしないし…だから俺は……だから、俺は……俺は……だから、…だから……ーーぅっっ」
「……。お前さ、俺に全くカンケーないことを話した上に何で泣き出すの？お前は何なの。何なのお前」
「…うぅっ……だ…って、…だって…ぁ、あいつが…俺のこと…信じないし…俺、こ、恋人なのに…ガキ扱いされるし…おれ、…れはっ、…もっとたよっ、頼ってくれても、い、…ひくっ、良いじゃんかとか…ぉ、おもっ、おもっ、…ぅ、…というか…っ、」
「……お前さー。……人のこと振った挙げ句、急に泣き出すって酷くない？しかも、他の男のことだしよ」
「…〜うぅっ…ひくっ、」
「しっかりしろよ、33歳大人」
「うるせーよっっ、…俺はっ、すぐ涙出る体質なんだよ…っ、ぅうっ」
「お前はシラフでそんなふうに泣きじゃくれるんだから、ある意味すげえよな…」
「っうぅぅ、」
「めそめそすんなよ、面倒くせぇな」
「っるさい馬鹿…！ばかっ、…お前のせいで俺はっ、あいつの信頼を失っ……うしなっ、…うぅっ」
「何だよ、俺のせいかよっ？なんだよもう……ほら、大丈夫か？」
「さ、触るなよ！」
「…、…は？何だよそれ、…人がせっかく宥めてやろうと…」
「約束したから…っっ、枷に、触られるなって…そう言われたからっっ」
「……はあ？」
「…ぅうっ、…俺……っ裏切りたくない…ぅっ、あいつのこと、安心させる…、安心、…させる、っ……」
「……。」
「俺は…っ、あいつのこと好きなんだよ…っっ…………す、…好きなんだよーーー………ッッ！」
「えっ！？はっ！？、ちょ、…やめろよ！何号泣して、…意味分からん！」
「うっ、ひくっ、ひくっ」
「もう、まじ何なの！？お前そんな泣き虫だったっけ！？」
「昔と今は違うんだよ馬鹿ァっっ、この野郎…っ…！っぅ、」
「…はあ。…どうでも良いけどさ、お前このままここにずっと居ていいのかよって」
「へ」
「お前、30分だけ時間ちょうだいって言ってなかった？」
「ぅ、…ぅん」
「今、35分程経過してるけど」
「ーーえっ！？」
「わっ、何だよ。急に声出すなよ」
「そ、…そんな…、ど、どうしよう俺…っ、…約束して、」
「はあ…？」
「、ど、どうしよう…っどうしよう…、…か、かかかか枷に、れれれれ連絡……しししししないと…」
「お前どもりすぎ。大丈夫か」
「だ、だだだだって、」
プルルルルル
「あ」
「…。…出たくない」
「はあっ？」
「俺…言いつけ破ったから…また繋がれる…」
「な、マジかよ？」
「…」
「そんなこと言ったって…好きなら、出ろよ」
「…だって」
「俺もあれだったら何か言ってやるし。とりあえず出ろよ」
「や、やだよ、」
「やだってお前何なの、ムカつくなっ、俺のこと振って更にその俺に他の男の電話に出ろと言わせるお前がまじムカつくよ、腹ただしくてやってらんねぇ」
「な、何だよそれ…」
「そんな泣くなら、やっぱ俺にしとく？」
「…ー。…え、」
「…そんな目の前で悲しそうにされたらさ、心配なんだけど。本当にあいつで良いのか、不安なんだけど」
「…俺は、」
「俺はお前のこと、こんなふうにしないし」
「…、」
「お前のこと信じてないなんて、恋人なんて言えんの」
「ぇ…」
「俺は、お前のことそんなふうにさせねえよ。佐山」
「、…それでも、俺は」
「俺の方が、お前絶対幸せだよ」
「……、」
「………だからさ、………佐山、お前さ…」
「ーーな、に……す」
「ーーー触らないで。俺の先輩に」
…………え…
な……
……なんで………えーー……？
「……お前………枷………」
「ー先輩の気持ちは熱いほど分かりました。さあ、早く帰りましょう」
「え………」
「俺は先輩のこと、信じてないわけじゃありませんよ。ただ、不安が大きくなってしまってただけ」
「……」
「先輩が不安だったから、すみません…、俺もずっとここにいました」
「え……、」
「…帰ろう、先輩。繋がない、…だから一緒に帰りましょう？」
「……」
「ごめんね、…先輩のこと泣かせて……本当にごめんね。」
「〜〜」
「………全部、聞いてたから」
「…っっ…聞くなよ………聞いてんなよ……変態……！っ…〜」
「ごめんね、先輩……。…先輩がじゃなくて、…先輩に不安かけてましたね、俺……」
「うぅ…っ…ぅ」
「せんぱ…」
「ーーあ〜はいはい、これで一件落着ね。はい、こんなところでイチャつかないでね、周りの人引くから。ったく面倒くせんだから…。はい、さっさと帰った帰った〜〜」
「え、……夏川さん…っ？…どうしてここに」
「枷にばれました」
「え？」
「俺が佐山さんに2人で会えって言ったこと、枷に見抜かれて。それで俺も呼ばれてたっつか」
「ぁ……」
「ちょ…、ちょっと待て…。どうゆうことだ…。は…？何だよこれ、俺は佐山たちの仲を良くさせる為に…まさか利用されて」
「じゃなくて、あなたが元々の原因なんだから、それ当たり前でしょ。…えーと確か、篠坂さん？」
「……な…」
「はい、篠坂さんありがとうございました。これで佐山さんも繋がれることもなく、2人も円満に…」
「ーなんっだよそれ…！？ざけんな！仕組んだなあんた！」
「すみません。後は俺付き合いますから。佐山さんたち帰っていいですから」
「え……いや、でも、」
「ー先輩、帰りましょう……？」
「…、」
後輩はそう言って、俺に優しく微笑んだ。
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