アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
労りと言う名のにしおりをはさみました!
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
- しおりがはさまれています
-
労りと言う名の
-
蓮斗と心は、あまり仲が良くない。というよりも、心の方が一方的に蓮斗のことを嫌っている気配もあった。
昔は、三人でよく遊んでいたときもあった。
それでも、蓮斗が道を踏み外す前の話だが。
「相変わらず無愛想なやつだな」
心がいなくなったあとの保健室。
開いたカーテンを閉めながら側のパイプ椅子に腰を下ろす蓮斗は笑う。
「そういうこと言うなよ」
「はは、ブラコン」
「蓮斗」
お前がそういう風だから心も心を閉ざすんじゃないのか。
そう言ってやりたかったが、蓮斗にとって心から好かれようが嫌われようが大した関心がないことを知っている俺は出かけた言葉を飲み込んだ。
仲良くなれ、なんて言うだけ無駄だ。
昔散々説得してみたが、心もあれだし蓮斗もこれだし今はもう諦めてる。
「そう睨まないでよ、せっかく晶のために湿布貰ってきたのに」
でも、やはり顔に出るものらしく。
無言で蓮斗を見上げれば、笑いながら蓮斗は制服から湿布を取り出した。
「貰ってきたって…」
多分、養護教諭から受け取ってきたのだろうがなんとなく嫌な予感がする。
普段、俺の体調を気遣おうともしない蓮斗のことを知っているからだろうか。
「ほら、そこ横になって」と腕を引っ張り、強引に仰向けに寝かせようとしてくる蓮斗に俺は慌てた。
「ちょっ、待って」
「暴れるなよ、痛むんだろ?別に変なことしないから」
俺がなにを言おうとしているのか自覚はしているらしい。
優しく諭してくる蓮斗に体を擦られ、つい俺は絆されそうになる。
というより、蓮斗の言うとおり体を動かすこと自体がだるいのだ。諦めが早くなる程度には。
「ん…」
言われるがまま、ゆっくりとベッドの上にうつ伏せに寝転がる。
目の前にはシーツの白がきて、蓮斗に背中を向けるのはなんとなく落ち着かないが、体勢的にはこれが一番楽なのだ。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
12 / 24