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好きな人の話。にしおりをはさみました!
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好きな人の話。
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テスト結果は上々だった。
すごく嬉しい。
今すぐ先生に報告したいくらい嬉しい。
でも行けない理由がひとつ。
なんだか、大輝くんが変だ。
「大輝くん?テストどうだったの?」
「ふつー…」
「そ、そっか…どれが一番良かった?」
「覚えてない…」
「あっ…そうなんだ…」
「ちょっと俺トイレ行ってくるわ」
「うん、行ってらっしゃい…」
明らかによそよそしい。
他人の気持ちに鈍い僕でも解るほどに、おかしい。何かあったんだろうか。
避けられてると言うほどでもない…
帰りは一緒に帰るし、ご飯も一緒に食べる。けど、いつも上の空。
思い切って聞いてしまっても良いものか…
昼休みに聞いてみようかな…
ーーーーーーー昼休みーーーーーーー
「だっ、大輝くん!」
「うおわっ!、なっ、なに…」
「最近なんか変だけど!そ、相談とかあるなら!してね!」
「藍…」
「僕、この学校では一番仲良しだと思ってたのに…違うのかなって…最近…」
「そんなことないっ!…ないんだけどさ…こないだ衝撃的なもの見ちまって。」
「衝撃的なもの?」
「藍って藤原先生と仲良かったし、中々言いづらくて…」
「藤原…先生?」
「うん、そう。」
「藤原先生がどうかしたの?」
「これは、藍だから言うんだからな…誰にも言うなよ…?」
「う、うん…」
なんだか冷や汗が流れる。
「テストが終わった日あるだろ?」
「うん」
確かその日は先生にお礼を言いに行った。
「その日にさ、俺居眠りして帰るのが遅くなったんだ、んで、薄暗い中帰ろうと思って学校の門の近く行ったらさ……」
「行ったら…?」
「先生が男とキスしてたんだ…」
「………………え?」
「暗かったけど、確かにあれは藤原先…………藍!?どうして泣いてるんだ!?」
大輝くんは目の前で慌て出したけど、僕はそんなの気にせず泣いた。
泣いたと言うよりは、勝手に溢れ出て来て止まらなかった。
「ど…どうしよっ…とまっ、んないっ…うっ……ひっく…うぇ……」
「…もしかして藍の好きな奴って……?」
「うっ…うん…ひっく…」
「嘘だろ…ご、ごめんな!?俺…そんなの知らなくて!ほんとっ…ごめん…」
大輝くんは眉間にしわ寄せて悲しそうな顔をしていた。
「…いっ、良いんだ…別にっ…うっ…」
今だに止まらない涙を、大輝くんは一生懸命拭いてくれた。
「泣き止んだ…?」
「うん…ごめん…ありがと…」
「いや…俺が悪いんだ…」
「違うよ、大輝くんは悪くない。恥ずかしがって言わなかった僕が悪いんだ。」
うまく笑えただろうか。
「…そんな顔しなくていい」
「えっ?」
「俺にはそんな偽物の笑顔通用しないぞ、学校で一番仲の良い友達なんだろ?」
そう言って大輝くんは笑った。
その笑顔で少し、ほんの少し、元気になれた気がした。
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