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好きなのに。にしおりをはさみました!
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好きなのに。
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好きなのに、先生を避けてしまう。
いや…好きすぎて?
でもそんなの恥ずかしくて言えない、言えずに居るうちに、こないだの一件以来、先生はどんどんと距離を置く。
資料室に行っても、手さえ触れ合えない。
こんなに側に居るのに。
やっと近くに寄ることができたのに。
近づいたはずの距離は広がっていく一方で、ただ時間だけが過ぎてゆく。
もう触ってくれないのかな、キス、してくれないのかな…
でもそんなこと言ったら…僕が変態みたいになる…先生に嫌われたくないし…ああ…どうしよ…もう、早く帰ろう…
「はああぁぁぁぁぁぁ………」
「随分と長いため息ね」
「吉川先生!?」
先生とキスしてたの見て以来、僕はこの人が苦手だ。
元々得意な方ではないけど、あれを見てしまったら、そう思う他ない。
「こんにちはっ」
吉川先生はバッと顔を近づけてきた。
「こ、こんにちは…」
僕は一歩後ろに下がる。
一体なんの用なんだろう…
もしかして先生をくれとか…?
えっ、そんな、嫌だ!
「せんせっ…あっ、いや、碧さんはあげませんよ?」
「え?」
「碧さんがっ、そう思ってなくても…僕はっ、碧さんが大好きだから…吉川先生にはあげません…!」
「うふっ!いやーね、もうっ、そんなこと思ってないわよっ」
「…へ?じゃあ、なんで?」
「碧の想い人をちょっと見て見たかったの」
「想い…人…?」
「そうそう、あなた達付き合ってるんでしょう?」
「なんで…知って…」
「さっき碧から聞いたわ」
「先生が?そう言ったんですか…?」
「ええ、そうよ」
吉川先生はそう言って、真っ赤な唇でニコッと笑った
「そう…ですか…」
先生…ちゃんと、そう思ってるんだ…僕が避けてても、そうやって言ってくれるんだ…
「清水くん?だっけ?」
「は、はいっ」
「清水くんも、さっき私に言ったみたいに、素直に碧に言ってあげたら?」
「え?」
「そうしたら、さっきのため息の理由も、解決するかもしれないわよ?それじゃあ、またね。あ、碧いま多分煙草吸いに行ってるわっ」
「あ…ありがとう…ございました…」
行っちゃったな…
さっきみたいに…?先生に大好きって…?
恥ずかしい…けど、このままじゃ嫌だし…言って…みよう、かな。
煙草吸いに行ってるってことは…裏庭…かな。
あそこは、ちょっと見たくないけど。
先生を初めて意識した場所だし…うん…行こう。
着いたら、やっぱり先生はベンチに座って煙草を吸っていた。
後ろ姿でもわかる。先生だ…
「先生っ!」
僕はいてもたってもいられなくて、後ろから先生に抱きついた。
「えっ!うわっ。……藍?」
「先生…」
抱きついては見たけど、どうしよう、なんて言おう…
「藍…無理しなくて良いぞ…?」
無理…?そんな風に思ってたんだ…
「無理なんてしてませんっ!僕っ、僕は!先生が好きだからこうしてるんです!先生にっ、触れたいから…触れて、欲しいから…今、こうしてるんです…!」
「……………それは、ほんとか?」
「ほんとです!」
「そっか…良かった……またお前を、傷つけたかと思った…」
「そんなこと…僕、キスされたの、嬉しかった、です。ただっ、びっくりして…初めてだったから…」
ぽんぽんっ
「…隣、座って」
僕が腰掛けたら、先生はぴったり横にくっついて、僕の肩に頭を乗せてきた。
「恋愛初心者だからさ…ちゃんと好きなのに、どうすればいいかわかんなくなるんだ…」
「僕もっ、もっと早く言えば良かったですね…」
「キス、さ…したい時にしちゃ、だめか…?」
先生が潤んだ目で僕の目を見る。
うっ、そんな顔されたら…
「………良い、ですよ…」
「ちょっとずつ、慣れて行こう。」
「はい」
「あ、俺以外とはするなよ?」
「それは先生もっ、僕以外とは…しないでくださいね…?」
もうあんなの見たくない、想像するだけでも、心がえぐられるみたいに痛い。
「そんな泣きそうな顔するな…もうお前以外とは、絶対しないから…」
先生はそう言って、優しい優しい口づけを、僕にくれた。
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