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僕らの体育祭。⑨にしおりをはさみました!
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僕らの体育祭。⑨
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そろそろリレーが始まる。
リレーは学年別で行われて、そこに先生たちのチームも参加するわけだけど、並び順を見て思った、碧さんってアンカーなんだ!
応援してる生徒たちもうきうきして、自分たちが出るわけではないけど、皆緊張しているのが伝わってくる。こういう時にしかない、独特な雰囲気。
碧さんが走ってるのなんて見たことがない、運動音痴なイメージもないけれど、逆に得意というイメージも全くない…化学の教師で理数系で眼鏡で白衣…普段の碧さんから想像するに、運動の"う"の字も出てこない。
大丈夫なのかな、こういうめんどくさそうなの嫌いそうなのに…さっきだってリレーのこと忘れてたっていうか、無視しようとしてけど…
なんて不安なことばかりを考えている間にリレーは始まってしまった。
「きゃー!!!頑張れー!!!」
「頑張ってください先輩!!!」
「がんばれー!!!!」
口々に皆が応援する。
女子の方が圧倒的に少ないはずなのに、こういう時に限って女子達の声ばかり聞こえるのは何故だろう…
かと言って僕は大きい声を出すのとか苦手だしなあ…
リレーを選択した子達は皆早いから、どんどんどんどんバトンは渡っていって、あと1人くらいでアンカーの番。
ちなみに先生チームはビリだ、当たり前だとは思うけど。なんだか納得いかない。
あ、青柳先生から碧さんへバトンが渡った。もう他のアンカーは全員バトンを受け取り走り始めている。
先生仕様でにこにこしている碧さんは、僕にはどこか不機嫌なように見えて、青柳先生からバトンをもぎ取ったかのように見えた。
碧さんが走り出して5mほど、皆が唖然とした。そして6、7mのところぐらいで一斉に黄色い歓声。
「はや…」
それは僕が口に出してしまうほどに早いから。ビリだった順位はあっという間に4人を抜いて2位へ。抜かされた生徒も驚いた顔をしている。
"頑張れ"と応援するまでもなく碧さんは1位との差ギリギリ2位でゴールした。
全く息切れしている気配がない…他のアンカーの子達は皆、はあはあぜえぜえと息を荒くして体を上下させているのに。碧さんって一体…?
リレーという最後の種目が終わり、碧さんは生徒たちに囲まれていた。
「先生って足早かったんだね!!」
「すごい!今度早く走るコツ教えてよ!」
「まあ…元々は体育会系でしたしね。」
「そうだったんだー!」
「先生ほんと早かった!」
そうだったんだ…それは僕も知らなかったな…
『体育祭の閉会式を行います、生徒、及び教員は速やかにグラウンド中央へ移動してください。』
あ…碧さんと話せなかった…僕も何か言いたかったな…
「清水くん」
「…あっ、碧さん…!」
「しっ!」
碧さんは人差し指を口に持って行ってにやっと笑った。
「お、おつかれさまでしたっ」
一応小声で話しかける。
そうすると先生も僕の耳元で
「ありがと、帰り、車で待ってるから。」
「…はいっ!」
「明日は休みだなんだから、覚悟しておけよ?」
「はい…」
先生の意地悪な笑みを見て、さっきの資料室での行動を後悔した…
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