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最後のラブレターにしおりをはさみました!
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最後のラブレター
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前略
なんて始めてみたけど、手紙なんか書き慣れてないから、どうやって書けばいいかわからないや。
わざわざ、手紙の書き方なんてネットで調べたりしたんだよ。でも、全然わからなかった。
やっぱり、メールとかに慣れてるとだめだね。
本当にいつ振りだろう?
多分、小学生の頃にやらされた両親への手紙とか、そんなところか?
あ、もちろん、こんな下らない話をしたくて手紙を書いた訳じゃないんだ。
君だって、こんな話は別に興味ないよね?
それとも、もう僕の事自体、興味がなくなっちゃったかな?
そもそも、君はこの手紙を読んでくれているのだろうか。
僕からの手紙だと知った途端、破り捨ててるんじゃないか。とも思う。
ちゃんと届いているのかすら分からない。
手紙って、どうしてこうも、人を不安にさせるのだろう。
昔の人はこれを連絡手段に使っていただなんて、今じゃ考えられないよね。
って、また脱線してしちゃった。
本当に申し訳ない。
どうしても勇気が出ないんだ。
君に本当の事を伝えようと何度もメールを作って見たけど、手が震えてうまくいかなかった。
それならばと筆を取ったのはいいけれど、いざ書き出そうとすると途端にわからなくなる。
これは何枚目の便箋だったか…とにかく、書いては捨てて、もう諦めようかと思いながらも、やっとここまで書き出す事が出来た。
無駄な事ばかり書いている様に見えるだろうけど、そこは察して欲しい。
ここまで書いて、ようやく、思いを告げる決心がついた。と、思う。
これを君が読んでくれることを信じて、僕は今の気持ちを素直に書くことにする。
ぶつけ本番だから、多少、支離滅裂なところがあっても許して欲しい。
突然だけど、僕はもうあまり長くないらしい。
この前、健康診断で引っかかったなんて笑っていただろう?
あれ、冗談なんかじゃなかったんだ。
あまりに突然の事で、僕も驚いています。
病名や病状なんかを詳しく書いても、つまらないだろうから書くのはやめておこう。
なんて、それは建前で、僕自身がまだピンピンしているから、信じられないと言うのが正直なところかな。
検査に行って、その日の内に入院へと話が進んで行った。
まず初めに君に相談すべきだったのだろうが、僕はただ怖かった。
君にどんな顔をされるのも怖かったんだ。
結果、逃げてしまった。
今、この手紙をどんな顔で読んでいるのだろうと思うだけで、やっぱり怖い。
破り捨ててしまいたくなる。
それでも書くよ。なんとか書いてみる。
僕の命はあと半年くらいらしい。
出来れば君と過ごしたい。
でも、それも怖い。
君を愛している。
それは、初めて君にこの言葉を送った時から変わらない。
だから、とても怖い。
君を泣かせたくない。
でも、君は泣いてくれるだろうかとも思う。
僕がいなくなった後は、もっと真っ当な相手を見つけて、幸せに暮らしてくれなんて言葉だって言えない。
それでも、やっぱり君に会いたい。
君にとっても、僕にとっても一番辛い事だと思う。
それでも、君に傍にいて欲しい。
一度は君から逃げておきながら、勝手な事を言っているのはわかっている。
だけど、この部屋で毎日寝起きする度に、じわじわと自分の置かれている状況に実感が湧く度に想うのはやっぱり君の事だった。
母や姉は僕たちの関係を受け入れてはくれていない。
だから、きっと君は僕以上に嫌な思いをするに決まっている。
それでも、僕の最後のわがままを聞いて欲しい。
誰よりも君を愛してる。
だから、お願いします。
僕の最後の時を共に過ごしてはくれませんか。
住所は封筒に書いてあります。
ずるいかも知れないが、返事は直接言いに来て欲しい。
この二週間、君がどんなに不安だったか考えてもみたけれど、今は自分の事しか考えられない。
謝罪もしない。だから、殴りたければそれでもいい。
会いに来て下さい。
お願いします。
草々
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