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君を探すにしおりをはさみました!
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君を探す
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同じ授業を受けているったって、俺の大学は人数が多い。一つの教室にも何百人かいるのではないかと思ってしまう程の人数だ。2限の授業が終わったので、教室を見渡してみる。しかし増村真澄の姿は見当たらない。
「なんだよ。人に約束を勝手にさせといて。」
一応、自分なりに一生懸命考えてきた。男から告白を受けるなんて初めてで正直戸惑う。だが、よく考えてみれば向こうも俺に告白をするなんてとても勇気のいることだ。だから、偏見とかそういうのを頑張って排除して考えれるように努力した。努力した結果、俺はとても寝不足だ。
増村真澄が見当たらない。取り敢えずこの教室にいれば大丈夫だろうと思った俺は、その場で待機することを選んだ。
「田辺くん。」
はっとした。やつがいつの間にか俺の隣に現れていたからだ。どうやら、こいつが来る前にうたた寝してしまっていたらしい。
「あ、ごめん。寝てしまってたみたいだ。」
「ううん。いいよ。」
俺の横に来ていたそいつは、とても穏やかで綺麗な表情をして、そう答えた。なんか少し照れくさい。
「あの、さ、増村。」
「何?」
「昨日のこと、なんだけれど。」
そう言うと、ゴクリと喉を慣らす増村。ああ、緊張してるんだなとか、頬を紅潮させて今にも泣きそうな顔を見て女みたいだなとか、そんなことを思ってしまう。
「昨日お前に告白されて、一晩一生懸命考えたんだ。」
「それで?」
キラキラとした目が俺を捉える。
「あ……。男同士とか、よくわからないんだ。でもそれって偏見だろ。だから、それは無しにして考えて。」
「考えて?」
「増村は告白してきたんだから、俺のことを少しは知っているのかもしれないけどさ、俺はお前のことを全然知らないわけだろ?」
「そうだな。」
「だから、友達になりたい。」
「え?!」驚く君。それはそうだろう。まさかこんな答えをもらうなんて、思ってもいなかっただろう。
「だから、その、よろしく。増村。」
こんなに改まって友達宣言をするなんて、照れくさくて笑顔を浮かべれば、今にも泣きそうな表情で俺を見る君。こんなに歓迎をされることもないので、ちょっとだけ嬉しかった。
今後君と仲良くなれればいいなと何となく思った。
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