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01にしおりをはさみました!
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01
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夜深くいまだ来ない朝陽を願って、水を汲み、顔を洗う。
作業という名の生活、生活という名のルーチンワークの為に、規則正しい生活をする。
その日もいつもの朝だった。
いきなりドアが開き、人が顔を出した。
「日向クン」
人とは言うが、その男は実際人ではない。人の姿をしているが人ならぬ存在だ。
けぶるグレイの瞳。陽に当たらない白皙の膚。ゆらめく色素の薄い髪。
「ねぇ。ちょっと頂戴」
ゆらりと動き、こちらに向かって来る。女のように抱き留め、腕をまとわせる。
シャツをくつろげ、匂いを吸うように鼻を近づけ首をペろりと舐めた。
生暖かい舌の感触に背中におぞけが走る。何回体験しても馴れない生理的な反応。
数回舌を這わせ、相手は口を開け、首に噛みついた。
つぷりと鋭利な犬歯が皮膚を貫き、肉を裂き、血管を突き通す。血が体内からあふれ、流れ出すのを膚で感じた。
首元でコクリと喉が動くのが、やたら生々しく響く。流れ出す血液を摂取する。
こまえだ、弱々しく日向は、そう呟いた。
*:.。..。.:*・゜゚・((**))・゜゚・*:.。..
日向はとある町の端、村の先、山と丘を越えた湖の近くに住んでいる。
貨幣よりも交換のほうが生活をするのに便利な立地だ。
何でそこに住み着いたのかは忘れてしまった。
いや、忘れた訳ではない。ただ、思い出したくないだけなのだ。それが逃げだとわかってはいても。
半年程前に湖に行った際に、行き倒れていた男を拾った。
行き倒れているなんてろくな人間ではない。
そう思って通り過ぎ、振り返り、足を進め、止め、しばらく考え込んでからやはりその地点に戻った。
多少は薄汚れてはいるが、町から村から山を越えて来たらこの程度は大概汚れる、というくらいだ。
外傷は見当たらないものの、燦々と浴びる陽の光に影響されない血の気のない貌、死体かと思うのは無理もないが、その薄い胸は規則正しく上下していた。
声を掛けても反応しない男を背負って山小屋に戻る。
ベッドに寝かせ、簡単な食料と水を枕元に置き、作業に出掛け、陽が落ちて帰宅してから日向は相手の正体を知る。
自分が拾って来た相手がまさかの吸血鬼だったことを。
*:.。..。.:*・゜゚・((**))・゜゚・*:.。..
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