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「どりゃあぁぁっ!!...ふぅ、」
自分より遥かに大柄な男を投げ飛ばした、この巫女装束を纏った一見か弱そうな人物がこの御話しの主人公である。
桐谷 巫女都 (きりたに みこと)
神社を生業とする家に産まれた彼は、歴とした男性である。
巫女都の家は女系一族で、先祖代々桐谷の家に産声をあげるのは女性であった。そして皆一様に家の神社で巫女となり、ある程度の年齢になると家業の神社を永らえる為に巫女を引退し、婿養子を迎えるのが桐谷家の慣例だ。
巫女都の両親も慣例通り、結婚をし子供を授かったが、ここで先例で無い事が起きた。
男の子が産まれたのだ。
これに両親は焦った。男の子が産まれるなんて微塵も考えていなかったので、女の子の名前しか考えていなかったのだ。
今更考えるのもしち面倒臭いと、奇しくも、3月5日、
3(み)5(こ)で一般的に巫女の日と言われている日に産まれた為、家も神社だし、( 都 ) 付ければ男の子っぽいから良いんじゃん?と安直にその名が決まったが、巫女都は途轍も無く可愛らしかった。クリクリの眼、艶やかな黒髪、雪の様に白い肌、ぷっくりとした紅い唇。
誰もがご存知、白雪姫と同様に表される容姿であった。
これに目を付けたのが両親である。神社の収益は、お賽銭や、地鎮祭、結婚式、寄付が主になる。なので、男の子だが可愛らしい容姿の巫女都をその名の通り巫女にして収益をせしめよう。と神職者とは思えぬ考えの元、まだ幼い巫女都に巫女装束を着せ、お手伝いをしようね。と丸め込み、地鎮祭や地元の催し、結婚式に駆り出した。
するとこれが大当たり。
寄付を始めとする収益が右肩上がりに増え、巫女都の両親は、巫女都が高校生になった今でも巫女として神社に彼を属させ、左団扇で暮らしている。
毎朝態々、たいして散らかってもいない神社の境内の外を竹箒を持たせて掃除をさせている。偏に巫女都目当ての参拝客を増やすのが目的である。
「どうしよ、やっちゃった...、あのー、...大丈夫ですか?」
投げ飛ばした大柄の男が伸びてしまい、巫女都は安否確認の為竹箒の柄でツンツン突いてみると、
「放っとけよ。どーせ、痴漢だろ?」
「 正ちゃんっ!」
この正ちゃんこと、佐倉 正太郎 (さくら しょうたろう)は巫女都の神社のお隣さんで、幼馴染み。そしてもう一人の主人公だ。
「うーん、痴漢、なのかな? 分かんないや。」
「痴漢だっつーの。遅刻するからさっさと支度してこい。」
正太郎は足元で伸びている男を痴漢と決め付けて、心配もしない。よく有る事なのだ。
「えっ!?そんな時間!?ちょっと待ってて!直ぐ着替えてくるから!」
巫女都は慌てて巫女装束の袴の前の紐に手を掛けて解こうとするも上手くいかず、パッと正太郎を見上げる。
「正ちゃん、固くて解けない。とって。」
上目遣いで頼む巫女都に正太郎は「はいはい。」とあっさり従う。
「よし、出来た。ほら、行ってこい。」
「うんありがと。正ちゃん待っててねっ!」
こうして巫女都の世話を焼く。これは正太郎の日常だ。
巫女都と正太郎は婚約しているが、只し、親同士が勝手に取り決めた婚約なので、本人達は未だに全く知らない。
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