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「あんた達、デートなんて悠長な事やってる場合じゃ無い!これは死活問題よ。」
学園祭での正太郎の暴挙に怒った巫女都の機嫌を取り戻そうと、挽回すべく翌日は久し振りに二人でデートに繰り出そうと正太郎は申し出た。
正太郎の誘いにこの上無く喜んだ巫女都は、前日の夜から一緒にいると、盛った正太郎に結局良いようにされて動けなくなると踏み、別々に夜を過ごす事を提案して、正太郎は渋々合意したのだが、ところが朝になり巫女都を迎えに来ると、琴子に取っ捕まり今に至る。
「 ...死活問題って。年中札束数えてるじゃないっすか。...なんだか知んねぇけど出掛けたいんすけど。」
居間に通され解放する気が更々なさそうな琴子に正太郎が意を決してそう告げるも、「黙って聞け」と一喝され口を噤む。超絶怖ぇから。
「ジューンブライドと呼ばれる、結婚式が最も多いはずの6月に、うちで式を挙げた人がたった5組よ?しかも今月はまだ予約がゼロ。...これは由々しき事態だわ。」
「...ママ、結婚式はチャペルで挙げたいって人が多いし、しょうが無いんじゃない?」
眉間を押さえ困り顔の琴子に巫女都がそう言うと、呆れたって顔をされる。
「 馬鹿ね、離婚率も上がってるし、熟年離婚も流行ってるわ。しかも結婚年齢も上がってる今、ウエディングドレスは1回着たしとか、ドレス着るにはちょっと年齢がねぇ。みたいな人が世の中ゴロゴロ溢れてるはずよ。そういう人達をどう取り込んでうちで神前式を挙げさせるか、そこが重要なのよ。.....そこで、」
......嫌な予感しかしない、
琴子の話を聞いていた巫女都と正太郎は揃って同じ事を思っている。これはまた、突拍子も無い事を言い出すんじゃないのかと不安て仕方がない。
「うちの神前式のプロモーションビデオを撮ってホームページとかネットにアップしようと思うの!はい、拍手!」
言われるがまま取り敢えず二人は拍手をし、正太郎は透かさず逃げの構えを取る。
「 へぇ、あっそ。頑張ってね。じゃ」
巫女都の手を掴み早々に退散しようとしたが、「ちょい待ち!!」と止められうんざり。
「 逃げようったってそうは問屋が卸さないわよ。最後まで話を聞きなさい。そこに直れ!」
琴子に制止され行く手を塞がれたからもう座るしかない。おばちゃんも巫女と同じで華奢な身体だが、恐ろしいほどデカく見えるから。
「いい?ここからが本題よ。巫女都を花嫁に見立ててプロモーションビデオを撮りたいと思います!」
...........やっぱり。
早い段階で恐らくそう言い出すだろうと読んでいた二人はため息を吐く。琴子が金の絡む事に息子を使うのは毎度の事だ。
「 絶対反対!!フリでも巫女が誰かの嫁になるのはお断り! それにんな事して客が増えたら、また巫女忙しくなって一緒に居らんなくなるじゃねぇか!断固反対!!」
立ち上がり、意を唱える正太郎に琴子はおばちゃんポーズで頬杖を付くと、正太郎をしっかり見据える。
「......へぇ、正太郎、私に意見するなんて随分偉くなったわねぇ。...ああそう言えば、この前ドロッドロの布団片付けるのしんどかったなぁ。しかも処分だし。あれ高かったのになぁ。新しいの買うためには稼がなくっちゃなぁ。」
.......くっ、おばちゃんめ、痛いとこ突いてきやがる。
琴子の言葉に正太郎はぐうの音も出せなくなり、巫女都は真っ赤になって俯く。
そんな二人の様子をみた琴子はハァとため息を吐いた。
「 安心しなさい。予約が入っても巫女都に式の手伝いはさせないわ。花嫁より目立つ子居たら、折角予約が入っても評判が上がらないもの。だから私も巫女都も論外。よって、郁子に頼むから。郁子なら花嫁が引き立つでしょ?だから正太郎の心配には及びません!」
...郁ちゃんに失礼だし。しかも美人枠に自分もちゃっかり入ってるし...。
琴子の言葉に巫女都と正太郎は白い目を向けると、「それに」と琴子は続ける。
「 新郎役は正太郎にやって貰おうと思ってたのに...。疑似でも御式なんて挙げたら夜、盛り上がれちゃうのにねぇ。残念だわぁ、そんっなに反対なら仕方が無いわね。」
「やります!是非やらせて下さい琴子様!!プロモーションビデオ大賛成!!慎んでお請けします!」
「正ちゃん!?」
琴子の夜盛り上がるの一言に、コロッと意見を変えて盛大に参加を表明した正太郎に巫女都は驚いた。
「......正ちゃんデートは?」
「いつでも出来る!!巫女、ちゃちゃっとプロモ撮って盛り上がろうぜ!」
「やだ。デート行きたい。だって、昨日から楽しみにしてたんだもん。」
拗ねてふて腐れた巫女都を正太郎と琴子は必死で説得する。方や性欲の為。方や金の為。強欲な二人に結局巫女都は丸め込まれた。
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