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87にしおりをはさみました!
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「 ...2、3日はかなり痛むと思うから安静にしててね」
診察室に戻ってきた正太郎に藤堂は心配そうに言うが、その言葉に正太郎はうんざりした様な顔をする。
「....言われ無くても痛くて動けねぇよ。」
「 そう。じゃあ安心だ。」
そう言う藤堂の言葉に巫女都はくすくす笑う。先生は大人だ。あんな不遜な態度を取られてもすいっと躱してて。正ちゃんはそれが気に入らないのか、凄い顔をして先生を見てる。
「 はい、じゃあ次巫女都くんの番。上、脱げるかな?」
「 あ、はい。......無理かな。正ちゃん、やって?」
一瞬、試みようと思うも片手ではどうにも脱衣出来なくて正ちゃんに頼むと、正ちゃんは「ハイハイ」と白衣を脱がす為に腰紐に手を掛けた。
「......チッ、だあっ!! んだよこれ!硬ってぇーなっ!!」
「......正ちゃんが結んだんじゃん。」
「.......ですよねぇ。」
自分で結んだ腰紐が解けずにイライラしながらやってるが、そんな俺を見兼ねたのか、藤堂が代わろうかとありがた迷惑な事を言ってきたから、頑なに自分でやると譲らなかった。
「シャアッ!出来た!巫女、こっちから抜くぞ? っ!?」
やっとこさ結び目を解き白衣を脱がすと、巫女の肌には抵抗した時に付いたのか、夥しい数のみみず腫が出来てる。
それを見た正太郎と藤堂は顔を顰め、そんな二人に巫女都は苦笑いをした。
藤堂は診察台に巫女都を寝かせると、脱臼した肩をゼロポジション整復法で慎重に嵌め、施術を終えた藤堂は困った様に巫女都に告げる
「...巫女都くん、ギプス割れちゃってるからこれは外して、新しいの付けるからね。」
「.......すみません、」
ばつが悪そうに謝る巫女を見て俺は俯いた。謝るのは巫女じゃねぇ。間違いなく俺だ。
...ギプスが割れる程の力で巫女の事蹴っちまったんだな。マジで最悪だな...俺...。
爪が食い込む程の力で自分の腕を掴む正太郎を見て、藤堂は言った。
「 先程、巫女都くんから事情を聞いたけど、君が巫女都くんを守ろうとしたように、これも巫女都が君を守ろうとした結果なんだよ。だから自分を責めるのは止めなさい。悔いているなら、巫女都くんと二人、兎に角安静にして早く治す事!いいかな?」
藤堂の言葉が俺には物凄え胸に染みた。あの時、制止の声も聞かずに蹴りつける中、死んじまうから止めろと言う巫女の言葉に、俺はそれでも構わないとさえ思ってた。
あの時、巫女が身を挺して庇ったのは暴漢の命を守る為の行為だと今迄は思ってたけど、でもそれが、俺を守る為だったと知って胸が締め付けられる思いだった。巫女は、あんな目にあっても、俺の事を考えてくれてたんだと思ったら、幼稚な自分が凄え恥ずかしい。
「......巫女っ、.....ごめんっ、」
俯き振り絞る様に言った俺に巫女はくすくす笑ってる。
「 あー、正ちゃん泣いてるでしょー?」
「うっせ!泣いてねぇよ」
「 うっそだー、絶対泣いてるってー!じゃあこっち見てみて?」
泣いてないと言い張りながら正ちゃんは顔を背けてる。僕はそんな正ちゃんを尚もからかい笑った。
そんな二人を見て、藤堂は付け入る隙など微塵も無いなと思いながらも、強くしなやかな巫女都に益々引かれていく自分に内心苦笑していた。
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