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再会 6
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side Ryu
「お疲れ、隆盛」
机に置かれる、湯気の立つカップ。
「あぁ、悪いな」
パソコンの画面から視線を外し、窓の外を見る。
外はすっかり闇に包まれ、夜空には三日月が掛かっていた。
「それにしても、白川くんの能力にビックリだよね。俺としては大助かりだよ」
ふふっと楽しそうに笑う雄輔を横目に、コーヒーに口をつける。
白川聖夜。
確かに瞬時に記憶する能力に、驚いた。
それに、理解力、読解力にもすぐれ、与えられた仕事も初心者とは思えないほどスマートにこなす。
ふと、理事長からもらった白川のデータを思い出す。
祐輔も思い出していたのか、ふっと笑った。
「さすが、入学試験、500満点中、498点なだけあるよね」
楽しそうに笑いながら、空を見上げる祐輔。
「しかもマイナス2点って数学の途中計算を書き記さなかったってだけで、実質満点のようなものだよね」
そして俺を振り返り、誰かさんと一緒だね?と笑った。
一度、俺も試験を受けた事があるが…白川と同様の結果だった。
「すごいなー、隆盛と同じ頭脳かー。あ、もしかしたら隆盛より有能かもね?
あの瞬間記憶能力とか」
「…ずいぶん、白川を気に入っているようだな?」
祐輔にしては珍しい。
普段物腰は柔らかで、誰にでもソツなく接するこいつ。
だがそれは分厚い猫を被っているだけだ。
笑いかけるだけで、言うことを聞いてくれるんだ。
安いもんでしょ?
と、笑顔付きで言うあたりがなかなかの腹黒っぷり。
普段の笑いとは違い楽しい玩具を見つけたかのように笑い、一人の人物を話し続けるのは興味を持った証拠だ。
「彼ってさ。俺たちを目の前にしても、畏怖するとか、媚びを売るとか、へつらうとか全然なかったじゃない?」
初めて白川と対面した日。
あのもっさりとした前髪から奴の表情は窺い知れなかったが、確かに今までとは毛色が違うな、とそう思った。
「初めは、彼が一般の家庭から来たからかなぁと思ったんだけど…なんか違う気がして。
彼のなかでは、人気とか権力とか¨どうでもいい¨位置にある感じがする。
それになんか俺達と関わるのが¨面倒臭い¨オーラがすごくて。生徒会をどうやって断るか必死に考えてる姿が楽しかったよ」
人の必死を楽しかったでくくるこいつも、たいがい鬼畜だな。
「それにさ?なんだか彼は、隆盛に近づきたくないみたいだし」
…祐輔の一番面白がる理由はそれか。
確かに白川からは、俺に関わりたくないオーラを感じる。
「畏怖、羨望、敬愛…色々あるけどさ。いずれにしても隆盛に近づきたいって輩ばっかり。
まぁ、中には隆盛に憎悪の目を向ける奴もいるけど、白川くんはなんか違う。
今までに無い反応だよねー。んー…単純に苦手?嫌い?って感じ。
なんかしたの?彼に」
「知るか。会うのは今日が二度目だ。その場にお前も居ただろうが」
そう言いながらも、感じる違和感。
「でもさ。白川くん、初めて隆盛に会ったときからそんな感じだよね?」
学園初の特待生、しかもほぼ満点という数字を叩きだしたという。
まったく興味がないわけではなかった。
無能な奴はクソ食らえだが、有能な奴は嫌いではない。
そして初めて見た特待生。
うざったい前髪、見るからに根暗な野郎だな、とそんな印象だった。
だが、すぐ感じる違和感。
自分に向けられる、嫌悪。
初めて会う奴だ。過去、こいつに会ったことはない。
だが、なぜだが違和感を拭えない。
「調べてみたんだけどさ?彼のこと。
父親は交通事故で亡くなってて、母親は病気で入院中。あ、明良んとこの病気だよ。
だから、特待生制度のある学校を選んだっぽいね」
生徒の情報は普通、学年とクラス、寮の部屋番号しか知ることしか出来ないはず。
大方、理事長のパソコンにハッキングをかけて調べでもしたんだろう。
誰に教えてもらったんだか知らないが、コンピューターを操るのは天才的。
こいつにかかると個人情報なんてだだ洩れだ。
「彼、外国の血が混ざってるみたい。母親の名前がソフィアってなってた。
まぁ、国籍までは分からないけど」
「あんなナリでか」
根暗な見た目を思い出す。
「それがさ、素顔はすごい綺麗な顔してたよ。
ほら、ここで会ったときに白川くんと俺の会話、聞いてたでしょ?
倒れてる彼を発見してベッドまで運んだんだけどね、その時白川くんの素顔見たんだけど…びっくりした。
前髪と眼鏡の下に、あんなモノ隠してたなんてね」
クスクスっと笑い、飲み終わったカップを片付け始めた。
「へぇ」
綺麗な顔…ね。想像もつかないが。
「意図して隠してるんだと思うけど。一度隆盛も見てみたら?白川くんの素顔。
もしかしたら会ったことがあるのかもしれないよ?」
素顔の時の彼と、と続ける雄輔。
奴を見て、感じた違和感。一度、顔を拝んでみるか。
「そうだな」
以前に会ったことのある奴なら、俺に向けられる嫌悪も感じる違和感の正体もわかるかもしれない。
それに理由も分からずに嫌悪されるのは胸糞悪い。
素顔を拝んだうえで、会ったことのある奴ならおのずと理由も分かるだろう。
それでも記憶に無ければ、問い詰めるだけだ。
仕事を片付け、祐輔と二人寮へと歩く。
「あ、隆盛。マメちゃん、部屋へ連れていくね」
日本を離れる間祐輔に頼み世話を任せていた猫。
あの日拾った、白夜が名付けた白猫。
「いや、明日の夜に用事で出かける。明後日まで頼む」
「そうなの?まぁ、マメちゃん可愛いし全然いいよ。本当、美人な白猫だよね」
薄汚れた猫は、白夜が言った通り綺麗な白猫に戻った。
白夜にも見せてやりたい…が、あの現場を目撃したことを白夜は知らない。
「もしかして仕事を早く終わらせたのって、その用事のため?」
「まぁ…な」
少しでも白夜の悲しみを取り除いてやりたい──と拾った猫。
何かきっかけがあれば…会わせてやりたいと思う。
これで少しはお前の悲しみを減らすことができただろうか…と問い掛けたい。
だが、まずは…。
──狂うほど、お前を味わいたい。
白夜の感触を思いだし熱く胸をたぎらせながら、寮までの道を歩く。
部屋につき着替えた俺は携帯を手に取り、そして電話をかけた。
白夜の戸惑ったような、声。
「白夜。久しぶりだな?」
さぁ、今夜はどんな声で鳴かせてやろうかーー。
白夜の体を、優しく丁寧に洗う。
起きた時に綺麗に洗われた体を見て、きっとコイツはまた余計なことを…と怒るんだろうな。
そんな白夜の姿を思い浮かべ、ふっと笑いが零れる。
俺の腕の中、意識を飛ばしなすがままの白夜。
今日はコイツを抱かなかった。
正直言えば、トロトロに溶けた白夜のナカに突っ込み、犯したい。
意識が無い今、突っ込もうと思えば出来る。
だが。
そんな事をするつもりはない。
意識の無い相手に、突っ込んだところで面白くもない。
そんな事で貴重な1個を使ってたまるか、あと4個しかないんだ。
コイツはきっとあの4個のコンドームを使いきれば、この先俺を客には選ばない。
自分のプライドを傷つけられたんだ、当然だろう。
だから、あと4個が、コイツを手に入れるのに残されたチャンス。
今日は、コイツの体に快感を植え付ける事が目的だ。
俺でなければ、満足が出来ない。
そんな体になってしまえばいい。
本番はなしで、コイツの意識を飛ばすまでしつこく繰り返した愛撫。
起きたらどんな反応をするのか…楽しみだ。
シャワーを止め、白夜を抱き上げバスタブの中へ入る。
前に下りてきた白夜の前髪を後に掻き上げる、そしてじっと白夜の顔を見つめた。
ただ漠然と、俺よりは年上だと思っていた。
白夜の持つ、他を寄せつけない異質な雰囲気がそう思わせた。
だがよくよく見ると、あどけなさの残る寝顔。
──一体コイツは、何歳なんだ?本当の名前は?そんな事を知りたい自分がいる。
そして何故、体を売る行為をしているのか──…
「お前の全てが知りたい。…白夜──。」
ベッドに横たえ白夜の体を拭き、バスローブを着せる。
そして体に布団をかけてやった後、俺は再びバスルームへと向かった。
「ハッ。まさか俺が自分の手の世話になるとはな」
依然固さを保ったままの、自身の熱を冷ましに──…。
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