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第17章―天上の刃―4にしおりをはさみました!
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第17章―天上の刃―4
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鳥人族が撤退して行くと彼らはその様子を見ながら警戒した。ケイバーは木の陰に隠れなが様子を伺った。
「なんだよあいつら、しっぽを巻いて逃げるつもりか? よくわからないけど、助かったぜ。どのみちこんなガラクタの装備じゃ、奴らには敵わねぇ。次会った時は落とし前つけてやる…――!」
彼はそう呟くとニヤリと笑った。ハルバートは、撤退して行く彼らの前に立ちはだかると斧を向けた。
「おい、待ちやがれ! テメェらが先に仕掛けに来た癖に逃げるつもりか!? 戦士なら最後まで正々堂々と戦え!」
ハルバートのその言葉にバンダナを巻いた男は不敵な笑みで笑った。
「――フン、人間とは青い生き物だな。俺達ファルクがお前らヒューマに本気で戦ったら、力の差は歴然だ。ここで犬死にしたいならかかって来い。だが、その瞬間に勝負はついている。さあ、どうする?」
バンダナを巻いた男は、両腕を組みながら仁王立ちすると、瞳を鋭くさせた。その言葉にハルバートは闘争心に火がついた。
「俺様を舐めてると痛い目みるぜ! 俺はこう見えも修羅場をいくつも掻い潜ってきたんだ! テメェらなんざ、俺とヴァジュラで一捻りして黙らせてやる!」
そう言って敵意を剥き出すと、斧を振り上げてかかってきた。すると男は素早い速さで瞬時に移動すると、彼の腹に目掛けて拳を突いた。みぞおちを殴ると、ハルバートはそこで攻撃の手が止まった。そして、苦しそうに噎せた。
「無様だな。やはりヒューマは、バーバリアンと違って体が脆いな。内臓にまで達してないから安心しろ。貴様らをここで葬ることは簡単だが、今はそれどころでは無くなった。だが、今度会ったら貴様らの息の根を止めてやる。これは挨拶代わりだと思って受けとれ!」
バンダナを巻いた男はそう言い残すと、最後に名前を名乗った。
「我が名はラルバ。覚えとくがいい。青き瞳の戦士よ――!」
そう言って彼らは竜騎兵達の前から一斉に飛び去って行った。ハルバートは唇を噛み締めると、怒りに奮えた表情をみせた。
「クソッタレ…――! |鳥人族《ファルク》の野郎ども、この落とし前は必ずつけてやる!」
怒りに内奮えるハルバートに、リーゼルバークは口を挟んだ。
「これ以上の戦闘は無意味だ! 敵は既に退却したんだ。我々も退却するぞ!」
「うるせぇ、俺はまだ戦える!!」
『ハルバートっ!!』
リーゼルバーグは突如、大きな声で怒鳴った。
「貴様の直ぐ熱くなる所は悪い癖だ! 周りを見て見ろ! この状態で誰一人も戦えわせん! 彼らは敵の矢で負傷した。お主はこの状況で仲間が生きている事が奇跡だと思わんのか! お前はそれでも竜騎兵を1つにまとめる隊長か!?」
頭に血がのぼっている彼を前にリーゼルバーグは指摘した。ハルバートは彼にその事を聞かされると、周りを見渡した。彼の部下達は多数が矢で負傷を負っていた。その中には、敵の矢で命を落とした者もいた。上空から見下ろした雪原には、真っ白な雪の地面に死体がいくつも落ちているのが見えた。
ハルバートは、やり場のない怒りを感じると大きく叫んだ。
「クソッ! ファルクの野郎ども……! 俺の部下達を殺しやがって! 畜生っ!!」
やり場のない怒りを声に出しながら部下達の死に彼は嘆いた。
「鳥人族とマトモに戦うことは危険だ。敵の目的はわからんが、今は一刻も城に戻らなくてはならい。それはわかっているな?」
「クッ…――!」
「お主がここのリーダーだ。リーダーは最後まで責任をとらなくてはならない。彼らをお前を必要としている。さあ、声をかけてやれ」
リーゼルバーグのその言葉に、ハルバートは感情的になると一言言い返した。
「俺をあてにするなよ…――! 俺は好きで隊長をやってるんじゃねーっ!! 俺はもともと一人だったんだ! 仲間とか、隊長だとか、そんなこと知るか! ここに来た時から俺には仲間なんていねぇ! 隊長をやりたきゃアンタがやればいい! 俺はこんな弱小パーティーと、つるむのはゴメンだっ!!」
ハルバートは抑えていた気持ちを吐き出すと彼らの前から勝ってに姿を消して飛び去った。部下達は全員ハルバートの言葉に戸惑っていた。リーゼルバーグはそこで頭を抱えると、彼の代わりに仲間達に声をかけた。
「お前達が気にすることはない。奴は、ああ見えてプライドの高い男だ。鳥人族の連中に負けてよほど悔しかったのだろう。今はそっとしておいてやれ。さあ、お前達、くずくずせずに私と一緒について来い! さあ、行くぞ!」
リーゼルバーグは負傷している隊員達の前で話を切り出すと、生き残った隊員達を引き連れて吹雪の中、タルタロスの牢獄へと帰還したのだった――。
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