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第14章―魂の在りか―3にしおりをはさみました!
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第14章―魂の在りか―3
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『アレン中将殿ーっ!!』
「やあ、ゴルチェ君か。重装兵のきみが慌てて走ってるなんて珍しいな。そんな格好で走ったら疲れないか?」
アレンは振り向くと慌てて走ってきた彼に軽くジョークを飛ばした。
「アレン中将殿からかわないで下さ、ゲホゲホ……!!」
「慌てて走るからだ。それくらい走れるなら戦場でも素早く動いてくれたまえ」
「アレン中将殿、無理言わないで下さいよ……!」
走ってきた男は重たい鎧を全身に纏っていた。重装兵の彼は明らかにアレンとは身軽な姿とは呼べなかった。
「で、ゴルチェ君。きみは何をそんなに慌てているんだい?」
「シュナイゼル騎士団長がお呼びです!」
「シュナイゼルが私に……? わかった。彼に今すぐ行くと伝えてくれ!」
ゴルチェは彼から伝言を伝えられると、頷いて直ぐに団長の下へと戻った。彼が走る度に鎧がガチャガチャと騒がしい音をたてた。
「まあ、あんなに重たい鎧をつけて走ってるなんて、重装兵は大変なのね?」
「そうですね。でも彼の場合はただの力ばかなので、ああ見えて体力だけは自信があるんです」
「まあ、そうなの……!?」
ミリアリアは重たい鎧をつけて走っている彼を見ながら関心したのだった。騎士団達の大行進は街を埋め尽くした。民衆は帰ってきた彼らの姿を一目みようと集まった。歓声と拍手と音楽と花吹雪が舞うパレードの最中、隊員の一人は彼の愛馬を連れてくると声をかけた。
「中将殿、貴方の愛馬をつて来ました! パレードはまだ終わりそうにもありませんので先に先頭へとお急ぎ下さい! シュナイゼル団長がお待ちです!」
「ああ、わかった。では急ごうとしよう。さあ、ジークフリードをここへ」
黒い馬は隊員に手綱を引かれるとアレンのもとに近寄った。彼は自分の愛馬を一撫ですると馬の背中に颯爽と跨がった。その無駄のない動きは機敏かつ、騎士らしく堂々と馬を乗りこなしていた。その姿にミリアリアは胸がときめいた。
「ディオきみはパレードに戻るんだ。こんな所をジョヴァンニ兵長に見られたらあとで怒られるぞ。ジョヴァンニはきみにとっては上官だからね。大目玉をくらうまえに自分がいた列に戻るんだ」
「はっ、はい…――!」
彼は返事をすると直ぐに自分がいた場所に戻ろうとした。戻る際にディオは、彼女の方に目を向けた。チラッと見ると直ぐに視線を外した。ミリアリアは視線に気づくとそこで彼に声をかけた。
「待ってディオ。腕を見せてちょうだい」
「え……?」
「貴方さっき私を助けてくれた時、腕を擦りむいたでしょ?」
「いえ、自分はこの程度の傷は大丈夫です……!」
「駄目よ。ほら、腕から血が少し出ているわ――」
ミリアリアは彼の腕から血が出ている事に気がつくと、そこで自分が頭に結んでいた白いリボンをほどいて、それを彼の右腕に巻いて止血したのだった。
「もういいわ。これで血が止まったはずよ。ディオ、さっきは私を助けてくれてありがとう」
彼女はそう言うと優しく可憐に微笑んだ。ディオはミリアリアの笑った顔に、顔が少し赤くなった。
「ありがとうございます……!」
「いいのよ。だって私にはこれくらいしか出来ないもの」
「そっ、そんなことないです……! だって貴女は…――!」
「え?」
ディオは言いかけるのをやめると、その場から黙って走り去って行った。
「まあ、ディオったらどうしたのかしら?」
ミリアリアは不思議そうな顔で、彼の姿を見送った。
「姫様、私は急がなくてはならないので失礼します」
「待ってアレン! 私も一緒に乗せてって!」
彼女の頼み事にアレンは困った顔をした。
「いえ、ですが人目が…――」
「酷いわアレン! 私をこんな所に置いていく気ね!? ここから一人でお城に帰れと言うの!?」
「そ、そんなことは……!」
「アレンは私がどうなってもいいの!? 冷たいわアレン、あんまりよ!」
「姫様、どうか私を困らせないで下さい――」
困惑する彼の前でミリアリアはワガママを言った。人目はいつの間にか2人の方へと視線が注がれた。そこにミリアリアの支えの婆やが遅れて現れた。
「ゴホン! こらアレン、姫様を泣かすではない!!」
「あっ、ガルシアさん……!」
アレンは目の前に現れた老婆に目を丸くさせた。老婆は杖をつきながら、彼の目の前を行ったり来たりして説教を始めた。
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