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再開2にしおりをはさみました!
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再開2
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なんとなく避けていられたのは、ほんの三日だけだった。
田中からの電話は唐突だ。こっちの都合とか気にするような奴じゃないから、もう諦めてる。
それでも、今からメシでも食おーかってときに、あの低くて怠そうな口調を聞くのはいい気分じゃない。
「仕事だ。逃げんじゃねーぞ、ガキ」
「逃げてねーよ」
反射的に言い返したけど、逃げたかったのは事実だ。
怖い、知らない男に無防備な姿を晒すのが。
「フン、まぁ、いい。めんどくせーしな。とりあえず、明日の午後9時、お前の常連のあのオッサンだ。場所はいつものホテル、わかったな?」
わかった、とは言えないまま、田中はかかってきた時と同じように一方的に電話を切った。
いつものこと。これからも、この生活が続くはずなのに、プー、プーと鳴り続ける不通の電子音が耳に痛い。
食べようと思っていた冷凍ピラフは、まだほこほこと湯気を立たせていたが、丸っきり食欲が無くなってしまって、そのままごみ箱の中へと姿を消していった。
まさとの、料理が酷く恋しかった。
その日はやっぱり眠れなくて、ぼんやりとした頭で分厚いカーテンの外が明るくなるのを感じていた。
俺の予想通り、鏡の中の俺の顔は酷いものだった。
目の下の黒ずんだ隈、赤く充血した両目。睡眠が足りないせいで、肌の調子も最悪だ。
こういうとき、男の俺には誤魔化す術がない。
せめて、血色だけでも良くしようと、食欲は相変わらずだったが栄養だけはと腹一杯に食べて、午後から2時間近く半身浴をした。
その努力の甲斐あってか、出かける頃にはなんとかまともに見える顔にはなった。
さぁ、お仕事、だ。
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