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夏の夕蝉2にしおりをはさみました!
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夏の夕蝉2
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目頭と胸が熱くなりポタポタと涙がこぼれて止まらない。
ただ苦しくて切なかった。両腕で顔元を隠しながら泣き叫ぶ。
『君は独りでいってしまった』
置いていかれた。その事実と一緒に思い出す。“真実”を。
次に目を覚ますと白い天井。
「先生‼︎患者様が起きました‼︎」
看護師さんの声。あぁ病院かなんて思った。
その瞬間また涙がこぼれ出す。
『君を独りにしてしまった。』
僕はやはり森の奥の使われない線路の上で見つかった。脱水症状で後少しおそければ死んでいたという。
二年前、その線路の上、君が僕の目の前で“死んだ”。
綺麗な笑顔で首にナイフを突き立てた。
錆びた鉄の匂いに紅。やけに蝉が騒がしかったのを僕は今でも覚えてるよ。
決して忘れない。
君はただ遠くへ行きたかっただけなんだよね?
銀河を独り行く。カムパネルラのように。
真っ赤に染まった夏。蝉の声に、列車が君を連れて行った日。
本当は僕も行くべきだったんだ。あの日に…でも
「ごめん」
君の望む遠くへ僕はまだ行けない。
だって君が残したサヨナラは僕へと今日も綺麗な綺麗な青空をくれた。
だからもし、君の事を忘れてしまいそうになったら、その時は…
どうか僕を迎えに来て欲しい。
今度こそ
「僕たち一緒に行こうね」
泣き続け日がくれる頃
夏の夕蝉がまた泣いた。
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