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春の夢にしおりをはさみました!
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春の夢
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「俺ね、ずっと君が好きだった」
そう君が泣きながら僕に言う。
君が僕の首にあてるナイフをとってくれれば考えてやってもいいだろう。
「なのに、なんで君はっ…彼女なんて作っちゃったの?」
彼女と言われて思い出すのは先週付き合い今朝別れた彼女の事だろう。
「ねぇ、答えてよ!!!好きだ!!好きなんだよ!!!」
ぐちゃぐちゃになった顔。
愛しい。
「春になったら一緒に桜を見に行こう」
僕がそう言うと君は目を見開く。
「だからもう、泣くな」
そう彼の頭を撫でる。
「そんなの今関係ないだろ!!!????」
叫ぶ彼を抱きしめる。
「大丈夫だ。僕はお前を愛してるよ」
なんていうのは軽い嘘。
僕のこの命を救うため。
それに顔を綻ばせる。
なんて単純なのだろうか。
「じゃあ、死んでよ」
その言葉にビクッと動けなくなる。
「一緒に行こう?大丈夫。俺らは愛し合ってるんだから…!」
それにしまった。そう思った。
真っ赤にそまる景色になんともいえない鈍痛。
最悪だ。
「春になったら…」
…ああ春になったら。
走馬灯が目の前を過ぎる。
桜の中君が笑う。
ジジッと音がする。あぁコレか。
なんだかむしょうに心が温かくてホットした。
春になったら一緒に桜を見よう。
あの日と同じ様に…。
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