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険悪③にしおりをはさみました!
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険悪③
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「これからも、仲良くしてやってね」
にっこり笑いながら言うその声に僕は緊張しながらも、もちろんですと頷く。
「じゃ、俺はもう行かないといけないから。またね、倉橋くん」
「あ、はい」
手を振り去っていく背中に、ペコリと頭を下げる。
その背中が小さくなっていくのを確認してから僕はサキくんの元へと駆け寄った。
「あ、あの…」
「はいってくんなっつったろーが」
僕が話しかける間もなくまず初めに悪態をつかれた。
「ご、ごめんね、でも…」
「でもじゃねえよ倉橋のバカ!ゴミ!クズ!お節介!」
そう言い放った後、僕とは一秒も目を合わす事もなく、玄関へ入っていき目の前で大きな音を立て思いっきりドアを閉めた。その勢いに思わず肩が跳ねる。
「…あ、あそこまで言わなくても…」
悪口の数々に涙目になる。が、きっと辛いのはサキくんの方だ。
おそらく、お兄さんと上手くいっていないのだろう。
鈍感な僕にだってわかる。あのギスギスした空気は兄弟喧嘩なんかじゃない。
サキくんの怯えた様子と、彼にいじめられていた時の僕。
どこか似ているような気がして、頭の中で自然と重ねてしまう。
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