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ほしみっつにしおりをはさみました!
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ほしみっつ
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「サキくん!!!」
耳に響く声に目を開けた。
「…うわ、なんだよ」
まだ開ききらない瞼をこする俺に、倉橋が満面の笑みで近づいてくる。大事そうに弁当箱を二つ抱えて。
「やっぱりここだった!」
突然の登場に驚きながらも、なんでわかったんだと返す俺に、倉橋は「だって、鍵開いてたから」とマヌケな顔で言う。
そして更に続けて「お昼だから、お弁当食べよう」そう言った。
「お母さんが、作ってくれたんだよ。僕のとサキくんの」
ーーああそうか。もう昼なのか。ずいぶん寝たな。
寝起きにも関わらずグイグイくる倉橋に多少苛つきながらも、そんなことを思う。寝ていると、時間はあっという間に過ぎる。
「結構美味しんだよ」と、微笑む倉橋を何も言わず見つめる。最初は、いらねえよと突き返してやろうと思っていたけれど、腹が減っているのは事実…。そう。何もしていなくても、腹は減るのだ。
授業もロクに受けず屋上で一人ゴロゴロしていただけでも、全然、減る。
倉橋の目の前で少し考える素振りをしてから、「食えばいいんだろ」だなんて、思ってもない事を口にしながら、受け取った弁当の蓋を開けた。
俺が弁当に手をつけたのを見てから倉橋は、「いただきまーす」と、俺の隣で嬉しそうに手を合わせた。
蓋を開けて気づいた。コレはアレだ。最近流行りのキャラ弁とかいうやつだ。
何かどっかで見たことあるようなキャラクターが楽しげに笑っている。米やら海苔やらハムやらその他モロモロを使って細部まで丁寧に作られた躍動感あふれるキャラと、色鮮やかな配色。
俺は中学生男子にしては可愛らしすぎるその弁当に若干引きながらも、すげー、と思わず声を上げた。
「…これ、全部手作り??」
「んん。そうらよ」
卵焼きを口いっぱいに詰め込んで、もぐもぐしながら答える倉橋。頬が膨れて、まるでハムスターのようになっている。
「いつもこんな感じなの?」
「いや、今日は特に可愛く出来へる!」
倉橋のアホ面に「ふうん」と、返してから、その膨れた頬をぷにっとつまむ。
「…つかお前、それ詰め込みすぎだろ。」
「そ、そお?」
「すっげー変な顔んなってるぞ」
「ひ、ひつれいな!」
うまく喋れてないとこが、あまりにもバカっぽくて面白い。自然と笑みが溢れる。
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